水のない絶望と、ヨガの限界
今日も、朝のわずかな数時間以外は、電気も水も完全に止まっています。
電気がなくて暗いのも不便ですが、やはり「水がない」のがとにかく一番きついです。 料理が作れない。食器が洗えない。そして何より、トイレが流せない。 人間の尊厳に関わる部分が脅かされると、とてつもないストレスが溜まります。何もやる気が出ず、ただじっと時間が過ぎるのを待つしかありません。
沸き上がるストレスをどうにか抑え込もうと、部屋にヨガマットを敷き、深く呼吸をして自分自身に集中してみます。 しかし、1時間ほどヨガを終えて目を開けると、そこには水が出ない蛇口と暗い部屋という「どうしようもない現実」がそのまま横たわっています。ヨガで一時的に心を落ち着かせても、結局は現実に引き戻されてしまうのです。
もう、慣れるしかありません。心を無にして耐え忍びます。
すぐ隣にあるエボラ出血熱の恐怖
そんな身動きが取れない部屋の中で、スマホのわずかな充電と通信を頼りにニュースを見ていると、背筋が凍るような情報が飛び込んできました。
隣国ウガンダ、そしてその隣のコンゴ民主共和国で、「エボラ出血熱」の感染症危険情報が発出されたというのです。
日本にいると遠いアフリカの出来事のように聞こえるかもしれませんが、今の私にとってはまさに「すぐ隣」の脅威です。私の任地マトゥングは、ウガンダ国境までバスで1時間もかからない距離にあります。 先日、ブシアの国境の街を訪れた際にも感じた通り、陸続きの国境は人々の往来が非常に激しく、見えない線でしかありません。
まだケニア国内での感染は確認されていないようですが、致死率の極めて高いウイルスが物理的にすぐ近くまで迫っているという事実に、はっきりとした恐怖を感じます。 自分にできる手洗いや消毒など、基本的な感染症対策をこれまで以上に徹底してやっていこうと思います。
ガソリン高騰と、世界の当事者であること
さらに、憂鬱なニュースは続きます。 先月税率抑制により少し値下がりして喜んでいたガソリン価格が、ここへ来て「再び高騰」したのです。 これを受けて、ケニア国内では明日、各地で大規模なデモが起こるという予告が飛び交っています。(ガソリン:約17円/L、ディーゼル:約47円/Lの値上げ)
一方で、日本のニュースに目を向けると、スナック菓子のカルビーが白黒のパッケージで商品を販売するという話題がありました。インキの原料となるナフサが不足していることが原因です。
パッケージの色が変わる日本のニュースと、明日デモが起きるケニアのニュース。一見無関係に見えるこの二つの事象は、どちらも遠く離れた場所で起きている「戦争」や「世界情勢の悪化」という一つの大きな根っこで繋がっています。
原油の流通が滞り、物価が上がり、それが日本のパッケージのインクを奪い、ケニアの庶民から1食分のバス代を奪っていく。
日本で平和に暮らしていた頃、世界のニュースはどこか「スクリーンの中の他人事」でした。 しかし、水が出ない異国の暗い部屋で、国境の向こうのウイルスに怯え、明日のデモを警戒している今の私にとって、それらは生活を直接的に脅かすリアルな事象です。
ニュースはもう、他人事ではありません。
私は今、間違いなくこの不確実な「世界の当事者」として生きている。 渇いた喉を少しの水で潤しながら、その重い事実を噛み締めた1日でした。


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