インフラの歓喜と、燃えるストリート
今日は、久しぶりに水道から水が出ました。
さらに、夕方の数時間を除いて電気もしっかりと通っています。
なんて……なんて快適なんだ。 電気バンザイ、水バンザイ。スイッチを押せば明るくなり、蛇口をひねれば水が出る。ここ数日の極限の不便さを味わった後では、この当たり前のインフラが奇跡のように思えます。
しかし、外の世界は全く穏やかではありませんでした。 窓の外を見ると、普段は行き交う車やバイクが全く走っていません。静かすぎる。 今日は午後からカカメガのタウンでミーティングの予定だったのですが、マタツ(乗合バス)が一台も来ないのです。
原因は、昨日ニュースで見ていた通り、ガソリン価格の急騰に伴う全国的なストライキでした。 交通網は完全に麻痺し、結局ミーティングは中止になりました。 友人から送られてきた情報によると、カカメガのタウンでも催涙弾や銃の発砲があったそうです。ニュース映像では、道でタイヤが焼かれ、暴徒化している人々の姿が映し出されていました。
事務所の同僚たちはその過激な映像を見ながらなぜか笑っていましたが、事態はかなり深刻です。 超がつくほどの車・バイク社会であるケニアにおいて、ガソリン価格の変動はそのままダイレクトに人々の生活の死活問題に直結します。暴動が起きるほど、生活が逼迫しているということの裏返しでもあります。
このストライキの余波は私のプロジェクトにも及びました。モンバサ(沿岸部)から送ってもらっていたマッシュルームの種菌が、物流の停止により今日届きませんでした。明日もストライキが継続する可能性があるらしく、いつ届くのか心配です。

一方通行の連絡と、半年の現在地
ミーティングの中止連絡は、友人からの情報で早々に知ることができました。しかし、私のボスから「今日は中止になった」と直接連絡が来たのは、ミーティング開催時間の3時間後でした。
もうその時間になって連絡をよこす必要性があるのか、全くよくわかりません。 こちらから送った質問や依頼のメッセージも、一向に返ってこないことが多々あります。WhatsAppでのやり取りが、一生「一方通行」の会話になるのは一体なぜなのでしょうか。 すぐに結果が知りたいなら電話をかければ済む話なのですが、文面として残さなければならない依頼を送っているので、避けては通れません。こればかりは毎回困り果ててしまいます。
ストライキによって二つの予定が吹き飛んでしまったため、今日は事務所で活動計画書の策定など、事務作業を黙々と行いました。 カレンダーを見れば、ケニアに来てからもう少しで半年が経とうとしています。 早いのか。長いのか。正直よくわかりません。長くも短くもない、妥当に時間が積み重なっているという感覚です。
金曜逮捕の裏技と、ケニア的司法ハック
今日、事務所を訪ねてきたある農家家族と、同僚のオフィサーとのやり取りが非常に興味深いものでした。
被害に遭った家族が、警察へ提出するための「作物被害の算定報告書」を求めて、農業事務所へ相談に来たのです。 事の発端は、親族間での土地と道の通行権を巡るトラブル。加害者グループが夜間に彼らの家を襲撃し、家にいた高齢の母親を殴打して負傷させ、家屋の窓やドアを破壊。さらに嫌がらせとして、畑のトウモロコシや価値の高い木材を切り倒して持ち去ったという、かなり物騒な事件でした。
警察に被害届を出したところ、「トウモロコシや木が切られた件については、農業事務所で査定してきなさい」と指示されたため、彼らはやって来ました。
しかし、話を聞いた農業事務所のスタッフは、加害者を確実に法廷で懲らしめるための、戦略的かつ生々しいアドバイスを与え始めました。
オフィサーはまず、「作物被害をメインの訴えにしてはいけない」と警告しました。 トウモロコシの被害額はせいぜい1万〜3万シリング程度。これをメインにすると、警察には「ただの小さな器物損壊や不法侵入」として軽く扱われてしまうと言います。
「相手を確実に刑務所に送るためには、高齢の母親を殴った暴行、そして強盗未遂や殺人未遂という『重罪』のフレームで攻めろ。借金や土地のトラブルがあろうが、人を殴る権利は誰にもない。そこを突け」
さらにオフィサーは、「ここはケニアだ」と前置きし、警察を確実に動かすための裏技を伝授しました。
「お金(お茶代)を使ってでも、警察を動かして『金曜日』に加害者を逮捕させろ。そうすれば、彼らは土日を挟んで週末中ずっと留置所で過ごすことになる。月曜日の裁判まで出られない。それを味わえば、二度とこんな真似はしなくなる」
金曜逮捕のシステムハック。 正義とは何か、法とは何かを考えさせられると同時に、この過酷な社会を生き抜くための「知恵」の深さに思わず唸ってしまいました。土地の根本的な解決には政府の測量士を呼ぶべきだという実務的な助言も含め、オフィサーのこのコンサルティング能力には恐れ入ります。
水と電気の復活に喜び、暴動の炎に脅かされ、ディープな司法ハックに感心する。 平和とカオスが同居する、1日でした。



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