終わらない停電と、日本の「普通」
今日も、相変わらず電気が弱すぎて部屋に明かりが灯りません。 電力が足りないため水を汲み上げるポンプも作動せず、水道から水も出てこない状態です。
なかなか不便です。 常に不安定というわけではなく、普段なら停電は週に5〜6回、1回あたり5〜10時間くらい。水も基本的に通っていて、1ヶ月に1回くらい止まってもポンプを動かし直せばちゃんと出てきます。しかし今回は、この「電気も水もダメ」という最悪の状況が3日間くらいずっと改善しませんでした。
朝起きてお湯を沸かすのにも、火を起こさなければなりません。冷蔵庫の中身はすっかりぬるくなっており、食材がダメになる前に早く消費しないといけないという見えないタイムリミットに追われます。これは結構なストレスです。
日本にいる人たちへ。 スイッチを押せば電気がつき、蛇口をひねれば綺麗な水が出る。その「普通」は、とてつもなくありがたいものです。本当の本当に…私はいま改めて、電気と水の大切さを身をもって感じています。
暗い部屋と、フライパンのパン
暗い部屋の中にいると、どうしても気分が落ち込み、なかなかやる気が出ません。
それでも朝ごはんに、昨日仕込んでおいたパン生地をフライパンで焼いて食べました。うまい。
不便な環境でも、自分で手を動かして作った美味しいものがあれば、少しだけ心が上向きます。
午前中は、最近読んだ本や映画の感想文をまとめたり、提出しなければならない書類を記載したり、コンポストを作ったりと、家の中でできる作業をゆっくりと進めながら休日を過ごしました。

AI特需と、M-PESAの脆さ
不便な田舎暮らしをしながらも、私の思考はネットの向こう側の最先端のニュースに向かっていました。
最近、半導体メモリを製造する日本のキオクシアが爆発的に業績を伸ばしていることが話題になっています。まさにAI特需とでも言うべき現象です。Anthropicも一昨日、最新モデル「Mythos」の機能進化を発表して世界中をざわつかせましたし、NVIDIAを筆頭に、AI開発の周辺でハードウェアを担っている企業たちの儲けっぷりは凄まじいものがあります。 世界の進化のスピード感に対して、計算メモリの供給が全く追いついておらず需要過多な状態です。
ただ、インフラが不安定なケニアにいて思うことがあります。OpenAIですら安全性の懸念から最新モデルを非公開にしたように、Mythosレベルの性能を持つ高度なAIは、使い方を間違えれば非常に危険です。しかし、きっと数ヶ月後、遅くても1〜2年後には、中国系などのオープンソースを推進する企業がそのレベルに追いついてくるはずです。
その時、社会のインフラシステムに脆弱性が残ったままであれば、本当に危険な事態になります。 日本はようやくメガバンクが「mythos」の権限を得て、堅牢なシステム導入に向けて進みつつありますが、ケニアなどの新興国に高度なセキュリティ対策が浸透するには、まだまだ時間がかかるでしょう。信頼性の担保や、AI人材の不足など、要因は様々です。
ケニアは今、国民の生活と経済のほぼ全てを「M-PESA(モバイルマネー)」というシステムに依存しています。もし、SafaricomやM-PESAの根幹システムが、悪意を持った高度なAIによってサイバー攻撃を受けたらどうなるのか。想像するだけでも恐ろしいです。
便利なテクノロジーは社会を豊かにしますが、それがハッキングされた時の脆さも計り知れません。世の中、本当に怖いなと思います。
わずか30分のぬか喜び
夕方、ようやく部屋の電気が戻りました。
「助かった……」 パッと明るくなった電球を見上げながら、深い安堵の息を吐きました。
—–しかし、そのわずか30分後。 再び部屋は漆黒の闇に包まれました。
「嘘だろ……」
暗闇の中で一人、天を仰ぐしかありません。
アナログな水・電気問題から最先端のAIの脅威まで、インフラの脆さというものを骨の髄まで味わい尽くした1日でした。



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