スタック状態と「信じて待つ」選択
マッシュルーム用の小屋の建設状況は、悲しいことにほぼスタック状態に陥っています。 あまりに作業が進まないので、今日は少し厳し目の口調で「この日までに終わらせてほしい」とスケジュールを提示しました。
彼らが本当にそのスケジュール通りに動けるかどうかは分かりません。でも、ここで激怒して関係性を悪くしてしまっては、今後のプロジェクト自体が頓挫してしまいます。やるべき主張はした上で、今できることは彼らを信じて待つのみです。この「待つ」という行為も、ケニアにおける重要な仕事の一つだと割り切るしかありません。
実習生と歩く畑。「Tom-san」の視点
昨日から事務所に配属された2人の実習生(アタッチメント)を連れて、今日は病院とパートナー農家の畑へ行きました。彼らから「Tom-san(トムさん)」と呼ばれると、急に先輩になったような不思議な気分になります。
まずは病院のデモ圃場へ。 残念ながら、こちらのイチゴは、予想通りあまり調子が良くありませんでした。畝の周りに動物の足跡が残っていたので、おそらく夜間に何らかの小動物に荒らされているようです。さらに水も足りていない様子でした。現場に責任者がいなかったため電話をかけ、軽くアドバイスを伝えました。ここは自分たちのビジネスではない分、やはり当事者意識が育ちにくいため、頻度高くフォローアップしていかなければと痛感しました。

そのあとは、メインのパートナー農家の元へ。
こちらは対照的に、イチゴの株が力強く、さらに増殖を続けていました。
彼女の話によると、彼女自身が色々なところでイチゴ栽培の話をしているらしく、近隣で「自分も育ててみたい」と興味を持つ人が数人出てきているそうです。 これは素晴らしい兆候です。無理にこちらから営業をかけなくても、彼女が広告塔となり、自然と任地内の農家に話が広がっていく。 イチゴの果実(フルーツ)としての収穫はまだ先になりそうですが、1ヶ月以内くらいに十分な数が揃えば、まずはこの増えた「苗の販売」からビジネスを始めていこうと思います。とにかく、今は株を増やす。ここに一点集中していきます。

自分自身の「知識の蓄積」に気づく
実習生たちは、このパートナー農家の話をすごく楽しそうに、目を輝かせて聞いていました。
農業がとても好きなんだなと、そのキラキラした目を見て思いました、
どうやってオーガニックで栽培しているのか。商売(換金作物)と自家消費のバランスをどう両立させているのか。リスクを分散させる多品種経営の工夫など。 話を聞き終えた実習生の一人は、「彼女は僕のロールモデルだ」と深く感動していました。
その光景を横で見ていて、ふと、彼らが熱心に説明を受けている内容のほとんどを、私は「すでに知っている」あるいは「深く理解できている」状態であることに気づきました。 赴任してからの数ヶ月、泥臭く現場を歩き、調べ、農家と対話を重ねてきた結果、ケニアの農業に関する知識が自分の中にしっかりと身についている。彼らの初々しい反応を通して、自分自身の成長を客観的に実感できた瞬間でした。

正論と伝え方、そして解像度が上がる夕暮れ
事務所に戻った後、ボスともう一人のオフィサーが実習生たちに「実習の進め方」を指導していました。
その指導は、結構高圧的なものでした。 「ちゃんとノートを持ち歩いて、細かくメモを取ること」 「しっかり計画を立ててから動くこと」 「農業グループを自分なりに探して、1週間に最低2回は訪問すること」 さらに、「君たちは知識も足りない」と厳しい言葉も飛んでいました。
言っていることは全く間違っていません。むしろ、社会人として、農業オフィサーとして非常に大切な心構えです。でも、もう少し別の伝え方があるよな、と思わずにはいられませんでした。正論を正論のままぶつけるだけでは、人は萎縮してしまいます。指導の難しさを横目で見学していました。
夕方、コツコツと作っていた自作のアプリがようやく完成しました。
また、これからやりたいと思っている新しい構想についての調査も進めました。
何かに挑戦し、行動を起こす。すると、これまで自分の中には存在しなかった「新しい検索ワード」が突然頭の中に生まれてきます。 そのワードで検索をかけると、また新しい知識と繋がり、視界が開けていく。 そうやって、自分を取り巻く世界や、このケニアという国の「解像度」がどんどん上がっていく感覚。これが今、たまらなく楽しいです。
停滞と成長が入り混じる、充実した1日でした。



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