【ケニア派遣140日目】病院の作業員と熱狂する農家。イチゴ畑の拡張で見えた「当事者意識」の絶対的な差

カカメガでの活動
カカメガでの活動

電話文化と、病院での「温度差」

今日は珍しく、朝から夕方まで現場でひたすら手を動かし、たくさん働いた1日でした。

マッシュルームのプロジェクトは、カウンターパートが今週ずっとトレーニングで不在のため、スケジュールの練り直しは来週に持ち越しです。その分、今日はイチゴの活動に全振りすることにしました。

まずは、病院の敷地内に作るデモ圃場に植えるためのイチゴの苗を調達しに、隣町の農家へ向かいます。 昨日のうちに電話で交渉と手配を済ませていたので、到着するとすでに苗が完璧に準備されていました。本当にありがたいです。

ケニアに来てからというもの、すっかり「電話をかけること」に慣れてしまいました。 こちらの人たちは、メッセージアプリで連絡しても基本的に返信をくれません。だから、用事があれば直接電話を鳴らす。最初は戸惑っていたこの強引な連絡の慣習も、今ではすっかり私の身体に染み付いています。

購入した苗の半分を持って病院へ行き、畑作業を担当している5人ほどのスタッフに協力してもらいながら、すぐに植え付けを行いました。 今日は幸いにも曇り空で、直射日光に弱い苗の定植にはもってこいの悪くない天候です。

ただ、一緒に作業をしながら少し気になったことがありました。 彼らと話していると、どうもモチベーションがあまり高くなさそうなのです。彼らにとってこれはあくまで「業務の一環」であり、自分たちのビジネスではありません。この温度感で、日々の繊細な水やりや管理をサボらずにやってくれるだろうか。 強い不安が残るので、当面は私が頻繁に足を運んでモニタリングを続けようと思います。

熱狂する農家と、ハブ化する畑

病院での作業を終え、購入したもう半分の苗を持って、今度はメインのパートナー農家の元へ向かいました。

現場を見て思わず笑顔が溢れました。もともと植えていた初期の株たちがとても元気で、力強くランナー(蔓)を伸ばし、順調に増殖していたのです。 今日は、この増えた株と新しい苗を使って、畑の規模を一気に2倍の大きさに拡張する大掛かりな作業に取り掛かりました。

雑草を抜き、土を盛って新しい畝を作り、苗を丁寧に植え付けていく。同時に元々の株のメンテナンスも行い、新しく伸びてきたランナーをポットで受け止める作業も並行します。 気づけば3〜4時間ほど、土にまみれて夢中で畑仕事をしていました。疲労はありますが、とても気持ちの良い汗です。

何より私を奮い立たせてくれたのは、農家さんの異常なまでのモチベーションの高さでした。

彼女は今、「日本から来た専門家と一緒にイチゴのビジネスをやっているんだよ!」と、地域の色々なところで誇らしげに言いふらしてくれているそうです。その噂を聞きつけて、近々サブカウンティの偉い役人までが畑を視察に来る予定だとか。

彼女はただ私の指示に従うだけでなく、自分なりに栽培の工夫を凝らし、私が伝えたロジックの重要性をしっかりと解釈して現場に落とし込んでくれています。 「もっともっと畑を拡張していくつもりだ」と語る彼女の熱量を見ていると、この場所を地域一帯の「イチゴ栽培のハブ」に育てていける確かな手応えを感じます。

病院のスタッフと彼女。同じ作業をしていても、そこに「当事者意識」があるかどうかで、目つきも行動もここまで変わるのかと痛感しました。

宝の山と、塩味のシロアリ

心地よい重労働の後は、お楽しみの食事の時間です。 今日、彼女が「栄養補給に」と出してくれたのは、「シロアリ(現地語でツィスワ、スワヒリ語でクンビクンビ)」でした。

最近、朝外に出ると、建物の壁沿いに不気味なくらい大量の羽が落ちているのをよく見かけていました。「気持ち悪いな」と避けて歩いていたのですが、地元の人たちからすれば、その羽を落としたシロアリたちは空から降ってくる「宝の山」だったのです。

ウガリのおかずとして、あるいはそのままスナック感覚で食べるのが現地流だそうです。
意を決して口に運んでみました。

味は……「可もなく不可もなく」といったところ。 虫特有の強烈なクセや臭みがあるわけではなく、シンプルに調理する際に振られた「塩の味」しかしません。ただ、タンパク質や鉄分などの栄養は満点だそうです。

病院での不安、農家の熱量、そして泥まみれの後のシロアリ。
ケニアの土の匂いとディープな食文化を、全身で味わい尽くした1日でした。

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