洗濯日和と「食」の幸福論
朝起きると、外はとても気持ちの良い快晴でした。 先々週の体調不良の時、ずっとベッドで寝込んでから、シーツを洗うタイミングを逃していました。久しぶりの強い日差しを利用して、ベッドのシーツを一気に洗濯しました。太陽の匂いがするシーツは、それだけで生活の質を底上げしてくれます。
午前中は、映画を観たり、本を読んだり、YouTubeを観て過ごしました。 私がよく見ているのは、食事や料理系のYouTubeチャンネルです。映像の中で美味しそうな料理が作られ、それを食べる様子を眺めているだけで、なんだかとても満たされた気持ちになります。
「食べる」「料理する」。 自分にとって、この食に関わる時間が一番の幸せな時間だなと、ふと思いました。 今の農業や食に携わる仕事もそうですし、自分の好きなこと、幸せを感じることに直結した日々を送れている今を、素直に幸せだなと感じます。
車のチケット売り場と、KPL観戦
昼過ぎからは、隣町のムミアスにあるスタジアムへ向かいました。 ケニア国内のトップリーグである「ケニア・プレミアリーグ(KPL)」の試合を観戦するためです。
会場に近づくにつれて、サッカーのスタジアム特有の太鼓や歓声の音が響いてきます。 いざ中に入ろうとしましたが、チケットカウンターらしきものがどこにもありません。「どこで買うんだろう?」と戸惑っていると、親切な人が案内してくれました。 連れて行かれた先には、車が2台停まっていました。なんと、その車の中にいる人にお金を直接渡してチケットをもらうシステムでした。 トップリーグの試合なのに、チケットカウンターもないのかと少し拍子抜けしましたが、警察の姿も多く、治安面ではしっかりと管理されているようで安心しました。

価格は、Normal席が300シリング(約300円)、VIP席が500シリング(約500円)でした。とりあえず中に入ってみましたが、正直なところ、両者の席の間にそこまでの待遇の差があるようには思えませんでした。
スタジアムには数千人ほどの観客が入って熱気に包まれていました。 面白いことに、相手チームは首都ナイロビを拠点とする名門クラブ(現在リーグ首位)だったのですが、ホームチームのファンよりもアウェイチームのファンの方が圧倒的に多く、もはや完全にホームのような雰囲気を作り出していました。さすがは首位を走る名門クラブです。

ボコボコのピッチと「中盤」の消滅
ピッチに目を向けると、信じられない光景が広がっていました。
グラウンドは文字通り「ボコボコ」。芝もまともにカットされておらず、深い草と土の凹凸が混在しています。 この環境でプロのサッカーの試合をするのは、あまりにも過酷です。パスを出してもボールが不自然に止まったり、予測不能な方向へ跳ねたりします。
その結果どうなるか。リスクを避けるために、両チームともとにかく「ロングボール」を多用する。 ボールが常に空中を行き交うため、中盤の選手が消える時間帯が多々ありました。
レベル感としてはどうでしょうか。ピッチコンディションが違いすぎるので単純な比較はできませんが、日本の「関東大学サッカーの3部リーグ」くらいかな、というのが個人的な肌感覚です。 ただ、そこに乗っかってくる「フィジカル」はやはり段違いです。バネ、コンタクトの強さ、球際の激しさ。そして、首位のチームだけあって、劣悪なピッチでもしっかりとボールをコントロールできる上手い選手が何人かいました。
とはいえ、中盤での細かいパスワークが少ない大味な展開が続いたため、観戦している途中で少しだけ眠くなってしまいました。

グラウンド乱入と、純粋な熱狂
ファンの応援スタイルも、日本やヨーロッパ、南米とは少し違いました。
洗練されたチャントがずっと響いているわけではなく、基本的にはゴール前にボールが運ばれた時だけワッと盛り上がるスタイルです。 でも、彼らはとにかく「楽しむことの天才」でした。 カメラマンが自分たちのスタンドにカメラを向けると異様に盛り上がり、あちこちで永遠と喋り倒し、中には奇抜な仮装をしたり、自前の楽器を持ち込んではしゃいでいる人もいます。試合そっちのけでお祭りの空間そのものを楽しんでいるようでした。
試合は、終了間際にアウェイのナイロビのチームが劇的な点を決め、0-1でアウェイチームが勝利しました。
そして、試合終了のホイッスルが鳴った瞬間。 歓喜に沸く相手チームのファンたちが、一斉にグラウンドの中へ流れ込んでくる。 そのまま選手たちが乗るバスを取り囲んで煽り、さらにはホームチームのファンの近くまで行って煽り倒すというカオスな状況に。 警備員もいるはずですが、止めきれないのか、もはやお約束なのか。
でも、グラウンドを走り回る彼らの顔は、はしゃぎ方がまるで子どものようでした。感情を爆発させて、本当に心の底から幸せそうに、楽しそうに見えました。 「やっぱり、スポーツの現場っていい空間だな」 理屈抜きで熱狂できる場所の力強さを、ケニアの人々から教わった気がします。

ユニフォームのないスタンドと、リーグの格差
ただ、この熱狂のスタジアムを見渡して、ビジネス的な視点で少しもったいないなと感じたことがあります。
それは、ホームチーム(今回で言えばカカメガ・ホームボーイズ)のファンが、ほとんどチームのユニフォームを着ていないことです。スタジアム周辺でもグッズを売っている気配は全くありませんでした。 プロスポーツにおいて、ユニフォームやグッズの販売は巨大な収益源のはずです。これだけ熱狂的なファンがいるのに、そこにマネタイズの導線がないのは、ビジネスとしてどうなんだろうと疑問が残りました。
また、試合を見て感じた「国内リーグのレベルの差」についても考えさせられました。 首位を走るナイロビのチームには圧倒的なフィジカルと技術を持つ選手が揃っていましたが、ケニアのサッカー界はメインスポンサーの撤退などで多くのクラブが深刻な資金難にあえいでいると聞きます。 一部のビッグクラブや企業・警察系のチームが資金と良い選手を集める一方で、地方のクラブは運営すらギリギリの状態。この「資金力の格差」が、そのままピッチ環境の差や、チーム間のレベルの差として如実に現れているのだと思います。この熱狂をお金に変える仕組みづくりが、ケニアサッカー界の大きな課題なのかもしれません。

ジャンプ合併号の絶望と「タスクを作る」仕事
夜、家でリラックスしながらいつものように週刊少年ジャンプを読もうとしたところ、先週が「合併号」だったことを思い出し、激しいショックを受けました。異国の地での数少ない娯楽が一つ先送りになるのは、地味に堪えます。そんな小さな絶望を抱えながら、今このブログを書いています。
明日から、また新たな1週間が始まります。 カレンダーを見ても、まだほとんど予定は入っていません。
とりあえず明日と明後日で、事務所の同僚や農家と話をして、自分からスケジュールを埋めていく必要があります。 協力隊の活動において、「与えられたタスクをこなす」のではなく、ゼロから「タスクを作る」というのは、想像以上に頭とエネルギーを使う大変な作業です。
スポーツの熱狂からもらったパワーを胸に、明日からまた、自分の手で活動を創り出していきます。



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