【ケニア派遣135日目】「人間は脆弱で清潔なバケモノ」。原因不明の高熱から回復するベッドの上で考えたこと

カカメガでの活動

原因不明のバグと、諦観

昨晩、突如として襲ってきた激しい嘔吐と下痢、高熱の地獄から一夜が明けました。

朝起きると、熱は微熱程度にまで下がり、酷かった吐き気も随分と落ち着いていました。 しかし、胃の調子は依然として悪く、食欲も全く湧きません。今日無理をして動けば確実に長引くと判断し、仕事には行かず家で1日中休息を取ることにしました。

少しだけ読書をしたり映画を観たりもしましたが、結局は起き上がっているのもしんどくて、ほぼ1日中ベッドで眠りこけていました。

体力を温存し、食べるものや水にも気をつけていたはずなのに、それでもダメでした。 昨日食べた鶏肉の油なのか、それとも知らずに口にした水なのか、あるいは蓄積された見えない疲労なのか。正直、思い当たる節が多すぎて何が直接の原因かは分かりません。

気をつけても防げないなら、もう自分の身体の免疫を強くしていくしかない。
理不尽なケニアの洗礼を前に、そんな諦観にも似た悟りを開きつつあります。

「脆弱で清潔なバケモノ」

ベッドの中で横になりながら、今週読んだ漫画(ジャンプ+で連載されているケモノ系のファンタジー作品『ケモナー』)の、ある一節を思い出していました。

獣たちが独自の文化を形成する星にたどり着いた人間に対して、獣のキャラクターがこう言い放つシーンです。

「アレ(人間)は正真正銘のバケモノよ。異様に脆弱で清潔なのが不気味なの。アレは自分以外の種族を完全には排除した環境で、ようやく健康でいられる存在なの」

さすがに私が今いるケニアを「獣の国」だと言うつもりは毛頭ありませんが、日本という超・衛生大国と比べたら、環境のワイルドさはそれに近いものがあるかもしれません。

ここには、裸足のまま泥だらけになって農作業をする人たちがいます。土埃が舞い、決して衛生的とは言えない環境で、手づかみでウガリを美味しそうに頬張る人々がいます。彼らはそれで体調雨を壊すことなく、力強く生きています。

私たちが当たり前のように求めている「衛生」とは、実は人間が本来持っていたものではなく、文明の発展に伴って後天的に手に入れた価値観に過ぎません。

しかし、その「無菌の価値観」を手に入れた代償として、私たちは靴を履きアスファルトの上でしか歩けないほど足の裏の皮が薄くなり、少しの菌で腹を下し、「自分以外の種族(菌や虫など)を完全に排除した環境」でしか健康を維持できなくなってしまったのです。

その善し悪しを判断するつもりはありません。ただ、文明が進むにつれて人間が「異様に脆弱な生き物」になっているのは間違いのない事実です。 このワイルドな大地で2年間をサバイブするためには、この薄くなった皮を、少しずつ分厚くしていくしかありません。

SHEPのリアルと、液晶への拒絶

夜は、隊員の方が開催してくれた「SHEP(市場志向型農業振興)アプローチ」に関するオンライン勉強会に参加しました。

一言で言うと「ビジネスとしての農業」を「農家が自律的」に行う。
これを推進するアプローチです。

しかしこのSHEPアプローチを、教科書通りにステップ・バイ・ステップで完璧に進めるのは、途方もない時間と労力がかかります。何より、現地の農家を巻き込み、モチベーションを維持させたまま全行程を完走させるには、支援者側に相当な覚悟と根気が必要です。

ポイントだけを抽出して活動につまみ食いしていく。
それが、今の私の現場における最も妥当な落とし所だろうなと、おぼろげながら感じました。

しかし、そんな思考を巡らせているうちに、PCの液晶画面の光が弱った体に鋭く突き刺さってきました。 画面を見つめていると急激に気分が悪くなり、これ以上は無理だと判断して無念の途中退出。

やはり、まだ完全復活には程遠いようです。 小難しいことを考えるのはやめにして、今日もゆっくり寝て、身体の皮を分厚くするための休息に専念します。

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