【ケニア派遣314日目】売上2倍と黒子の手応え。雨とジャムの反省を越えて走り抜けたマーケット2日目

ケニア派遣314日目。ファーマーズマーケット2日目。キノコの需要を見越して朝からマトゥングへ往復するハプニングを越え、前日の反省を活かして売上は2倍以上に急伸。いちごジャムの惨敗という課題に直面しつつも、メディア取材やGIZ関係者との再会に喜ぶ農家たちの熱量を前に、徹底して「黒子」に徹することができた支援の手応えと、年内開催を目指す第2回への展望を綴ります。

朝の往復便と、マタツの揺れに救われた体調

ファーマーズマーケットは2日目を迎えました。

初日の手応えを振り返ると、キノコへの関心が予想以上に高く、今日用意している在庫だけでは確実に足りなくなる計算でした。
そこで、朝一番で任地マトゥングへ戻り、追加のキノコを回収して会場へ運ぶことにしました。

前日に農家さんへ「カカメガまで送ってほしい」と連絡を入れました。
しかし、電話は途中で切られ、メッセージも返信はありません。

結局自分で現場を訪ねたところ、案の定、頼まれた作業を面倒くさがっているような空気が漂っていました。
はっきりと口にされたわけではないので、こちらの勝手な思い込みで決めつけるのは良くありません。
ただ、言葉に頼らない現地の空気感として、その気乗りしない温度は十分に肌に伝わってきます。

体調も決して万全ではなく、朝からの移動は身体に堪えます。
「なんで自分がわざわざ取りに来なきゃいけないんだ」と、ため息が出そうになる瞬間もありました。

しかし、結果的に見れば、この往復のマタツに揺られている時間に泥のように深い睡眠を取ることができました。
この移動中の仮眠は回復薬となってくれました。

昨日で、多くの学校が学期終わり。たくさんの学生が、実家に帰るようです。

改善が生んだ売上2倍と、迅速だった雨の対応

追加のキノコを抱えて会場へ滑り込み、2日目がスタートしました。

今日は、初日に浮き彫りになった課題を一つずつ修正して臨みました。

工夫の成果は、数字として如実に現れました。

客足のピークとなったお昼前後にはブースの前に人だかりができ、売上金額は初日の倍以上に跳ね上がりました。

午後には昨日と同じように暗雲が立ち込め、激しいスコールに見舞われました。
しかし、昨日の痛烈な経験があったからこそ、慌てることはありませんでした。雨足が強まる兆候を察知した瞬間に、濡れては困る商品を素早くテントの奥へ退避させる。全員の連携によって、迅速かつ被害を最小限に抑えて雨をやり過ごすことができました。

一度手痛い洗礼を受けておいたからこそ、2度目は落ち着いて対処できる。
失敗をその日のうちに実践知へと昇華させる面白さを実感しました。

ジャムが売れなかった理由と、プロダクトの適合性

一方で、手元にはシビアな現実も残されました。

いちごジャムが、売れなかった。

瓶のサイズが小さすぎたのか、価格設定が強気すぎたのか。もちろんそうした細かな要因もあるでしょう。しかし、行き交うお客さんの視線を観察していると、そもそも「手に取ろうとすらされない」という根本的な壁にぶつかっていました。

パンを添えて味見を促すような試食の仕掛けが足りなかった反省もあります。
ただ、それ以上に、この地域の買い物客にとって、いちごジャムという加工品そのものが、日常の文脈にない刺さらないプロダクトだったのではないか、という疑念が頭をかすめました。

いくらこちらが「付加価値をつけた素晴らしい商品だ」と思い込んでいても、目の前の市場が求めていなければ、ただの自己満足に過ぎません。 無理に加工品を押し通すのではなく、次回はシンプルに、誰もが一目で価値を理解できるフレッシュな生鮮いちごをそのまま並べて勝負してみたい。現場の反応から、次の一手に向けた大切なヒントを拾い上げることができました。

「黒子」に徹する贅沢と、農家が手にした誇り

今回のマーケットを通じて、何より嬉しかったこと。
それは、私自身が徹底して、黒子に徹することができた点でした。

ブースの前に立ち止まったお客さんから声をかけられても、私が説明することを意識して避けました。
「この商品のことは、彼女が一番よく知っているよ」と、すべて隣に立つ農家さんたちへと会話のパスを振り続けました。

彼女たちは、実に堂々と、そして誇らしげにお客さんと対峙してくれました。 商品の魅力、育て方のこだわり、おすすめの使い方を、自分の言葉で一生懸命に語りかける。 彼女たちの熱量に引き込まれるようにして、商品が売れていきました。

現場には地元のメディアも取材に訪れ、農家さんがマイクを向けられてインタビューに応じる華やかな場面もありました。
何より心に迫ったのは、私のパートナー農家さんが、かつて支援を受けていたドイツの国際協力機関(GIZ)の担当者と会場で偶然再会し、かつての支援者が目の前で彼女の成長と活躍を目撃し、褒め称えてくれたこと。

外国人の私が前に出て目立つのではなく、主役である農家さんたちにスポットライトを当て、彼らが自らの力で手応えを掴み取る舞台を整えること。これが、目指してきた支援のあり方であり、一番やりたかった役割でした。

手探りの第1回を終えて、年内の第2回へ

全体を振り返れば、今回はすべてが手探りのトライアルでした。

運営の段取り不足、雨への備え、売れ残った商品など、反省点を挙げればキリがありません。
それでも、実際に現場を動かしたからこそ、机の上でいくら頭を悩ませても手に入らなかったリアルな数字と、生々しい課題が手元に残りました。

何より、農家さんたち自身が「自分たちの力で売れた」という成功体験と、外の世界と繋がった手応えを全身で味わってくれました。
第1回目としての目的は、十分に達成できたと言って良いはずです。

今回のデータを近いうちにしっかりと分析し、出店してくれた農家さんや他の隊員仲間たちと作戦会議を開く予定です。
今回の反省をすべて燃料に変えて、年内には、さらに進化した第2回を仕掛けたいと考えています。