【ケニア派遣306日目】週の食費500円未満の豊かさ。顔が見える野菜と、3週間彷徨ったサンドイッチメーカー

ケニア派遣306日目。パートナー農家2軒を巡回し、新しい菌床の順調な広がりを確認。山盛りのもぎたて野菜をいただき、1週間の食費が500円未満という田舎の経済性と「顔が見える食の出所」の価値を考察。午後には300日目に受取所で紛失していたJumiaのサンドイッチメーカーが3週間越しに奇跡の生還。埼玉のAmazon翌日便やナイロビのUberとの流通グラデーションを面白がりつつ、タスクを完遂して迎える爽快な週末を綴ります。

新しい菌糸の広がりと、週500円未満の食費が生む豊かさ

今日は2軒のパートナー農家さんのもとへ足を運び、対話を重ねながら進捗の確認を行いました。

新しく仕込みを始めたキノコの菌床袋をチェックしてみると、順調に白い菌糸が全体へと広がり始めていました。立ち上がりのコンディションとしては申し分ありません。ただ、以前カビにやられて手痛いロスを出した苦い教訓があるため、毎日の目視モニタリングは怠らないようにと、改めて農家さんに念を押しておきました。ここから彼女がどこまで気を抜かずに付き合ってくれるか。見守りながら伴走を続けます。

作業を終えると、両手いっぱいの野菜を農家さんからいただきました。 現場を訪ねるたびに、当たり前のように温かい手料理をご馳走してくれたり、採れたての作物を分けてくれたりする彼らの懐の深さには、いつも感謝の言葉しかありません。

こうして色々いただけるおかげで、最近の1週間の食費は、日本円にして500円もかかっていません。

首都ナイロビの小洒落たカフェへ行けば、コーヒー1杯だけで500円以上飛んでいくのが当たり前の世界です。
それなのに、ここマトゥングでは、そのカフェ1杯分にも満たない金額で、一週間丸々お腹いっぱいに美味しいご飯を食べることができている。この途方もない経済的な格差と振れ幅の大きさを見つめていると、ケニアって本当に面白い国だなとつくづく感心させられますし、畑のすぐ隣で生きる田舎暮らしのありがたさが身に染みます。

家に持ち帰って調理して口に運ぶたび、いつも不思議に思います。
なぜ、畑から直接やってきた野菜は、スーパーの棚に並んでいる野菜よりも圧倒的に美味しいのでしょうか。

日本で暮らしていた頃も、バイト先などの農家さんから規格外の野菜を頻繁にいただく機会がありましたが、そのどれもが絶品でした。 単に収穫してからの鮮度が抜群だという物理的な理由だけではない気がします。誰が、どんな土の上で、どんな表情で手をかけて育てたのか。その顔を自分の目で知っているからこそ、食材に対する愛着と味覚の解像度が何倍にも引き上げられているのだと感じます。

最近の東京では、ビルの屋上でコミュニティ農園を作って野菜を栽培する試みが広がっていたり、室内で手軽にできる栽培キットが人気を集めていたりします。 自分の手で野菜を育てて食べるという経験は、忙しい現代に生きるすべての人に一度は体験してみてほしい、とても贅沢で豊かな営みです。

自分が口にしている命の出所を知ること。それだけで、日々の食卓の景色は劇的に変わるはずです。

3週間彷徨った小包と、サンドイッチメーカーの生還

午後、我が家で作業を進めていると、一通の連絡が入りました。
アフリカ最大手のECモール「Jumia」のピックアップポイントからでした。

「注文していた荷物が届いた」

……ついに、来た。

注文ボタンを押してから、実に3週間の月日が流れていました。 先週、公式の到着メッセージを握りしめて受取所へ向かったものの、現場で「荷物が見当たらない。本部に連絡して追跡するから後日来てくれ」とあっけなく門前払いを食らっていた、あの因縁の小包です。

「どこにあるか分からないから探す」と言われたまま音沙汰がなく、正直、半分以上諦めていました。

本当に手元に届いたという事実に少し感動してしまいました。

埼玉にいた頃は、Amazonでポチッと注文すれば、早ければ翌日の午前中には当たり前のように玄関先へ荷物が届いていました。
日本の緻密で正確無尽な物流インフラは、世界的に見れば完全に異次元の便利さです。

もちろん、ケニアという国全体が遅れているわけではありません。個人間での荷物配送であれば長距離バス網を使って翌日には届きますし、首都ナイロビのような大都市であれば、Uberや各種デリバリーアプリが縦横無尽に走り回っており、先進国と変わらないスピード感で物が手に入ります。日本にだって離島や過疎地があるように、「ケニアだから」「日本だから」と一括りに単純比較できる話ではありません。

ただ、少なくともいま私が暮らしているこのマトゥングの田舎は、なかなか不便で、計算通りにはいかない場所です。 到着通知が届いてから荷物が忽然と消え、3週間彷徨った末に忘れた頃に手元へやってくる。この手のひらに残る適当さとハプニングの連続も含めて、やっぱりケニアの田舎で暮らすのは面白いなと笑えてきます。

キノコ完売、資料完成。スッキリと迎える週末へ

手元にあったキノコは無事にすべて完売させることができ、今週作成しようと思っていた資料も最後まで書き上げることができました。

今週も現場で走り回り、頭をフル回転させ、文句なしに全部の時間を使い果たしました。

今夜は、奇跡的に届いたサンドイッチメーカーを眺めつつ、いただいた新鮮な野菜を丁寧に料理して胃袋を満たします。

アマランサスとおからハンバーグのパスタ。
見た目あれだけど、めっちゃおいしかった。料理研究楽しい。