【ケニア派遣297日目】「I need you」に身構えたら昼飯だった。土に触れる幸せ。

ケニア派遣297日目。一日中いちごの葉かき作業に没頭し、土を触る時間が性に合っている幸福を実感。集中しすぎて「I need you」と呼ばれ事件かと駆け寄ると「お昼ご飯だよ」と笑わされる温かい時間。すっかり懐いた猫に癒やされつつ、夕方はカカメガの隊員と今後の協力体制を議論。大きな構想に浮足立たず、地に足をつけて進む決意を綴ります。

「I need you」の緊迫感と、平和すぎる昼ごはん

今日は一日を通して、いちご畑での葉かき作業に没頭していました。

古くなった下葉や、余計な葉を一枚ずつ丁寧に摘み取っていく地道な手作業です。腰を落として、土の匂いを間近に嗅ぎながら、何時間も植物と向き合い続ける。自分はずっと土を触っているこういう時間が、根本的に性に合っているのだと実感しました。

難しい理屈や数字のプレッシャーから解き放たれ、ただ目の前の土と葉に集中する。
とてもシンプルで、幸せな時間の使い方です。

作業に没頭しすぎていたせいか、周囲の音が完全にシャットアウトされていたようでした。

「 I need you!」

切羽詰まったような声が耳に飛び込んできた瞬間、ハッと顔を上げました。

(えっ、何か緊急のトラブルでも起きたのか……!?)

作業を放り出し、少し慌てた様子で小走りに声の主のもとへと駆け寄りました。

すると、農家さんは満面の笑みを浮かべて、私を自宅のドアの中へと招き入れてくれたのです。

「ご飯の時間だよ、入って入って!」

……何やねん(笑)。

思わず心の中で勢いよくツッコミを入れてしまいました。
「I need you」なんて大げさに呼ばれたから、苗が全滅したのか、誰かが怪我でもしたのかと本気で身構えてしまいました。

でも、何事もなくて本当によかった。
肩の力が一気に抜け、安堵と可笑しさが混ざり合った笑いがこみ上げてきました。

しかし現場に行くたびに、こうして当たり前のように温かいご飯を食べさせてくれる彼らのもてなしには、心から感謝しかありません。

足元に目をやると、農家さん宅の飼い猫がすり寄ってきて、喉を鳴らしていました。すっかり懐いてくれて、私の膝や足元が定位置になりつつあります。動物が心を開いてくれる瞬間もまた、現場に通い続けて手に入れた愛おしい日常の一コマです。

カカメガの仲間と描く絵、そして「地に足」をつける覚悟

昼食後も少し畑に戻って葉かきの続きをこなし、夕暮れ前には道具を片付けて我が家へと戻りました。

家で一息ついていると、同じカカメガカウンティ内で活動している隊員仲間が、我が家を訪ねてきてくれました。
息つく間も無く、すぐにテーブルを挟んで、これからの活動についての作戦会議をしました。

お互いのプロジェクトをどう掛け合わせられるか。
単独の点として動くのではなく、チームとしてどうやって地域全体にインパクトを広げていけるか。

机の上にアイデアを並べ、膝を突き合わせて議論を交わしている時間は、知的好奇心が刺激されるとても有意義なひとときでした。

語り合っているうちに、話のスケールはどんどん膨らんでいきます。
来年に向けた大きな展開、地域を巻き込んだダイナミックな構想。
未来の青写真を描くこと自体は、エネルギーに満ちあふれていて、とてもワクワクします。

しかし、魅力的なビジョンを描くのは簡単です。
大切なのは、大きな夢に浮足立つことではなく、今日一日中やっていた「葉かき」の作業のように、目の前にある現実と地道に向き合うことです。

描いた大きな絵を胸の奥に大切にしまい込みつつ。 焦らず、背伸びをせず、地に足をしっかりとつけて。
明日もまた、頑張ります。