【ケニア派遣263日目】単身ケニアへ来た高校生と、中2のブラジル。人生の原点をくれた親への感謝

ケニア派遣263日目。同僚・農家さんと3人で半日かけたいちごのマルチ管理と除草作業。午後は日本から学びに来た高校生を迎え、プロジェクトや地域の魅力を紹介。外からの視点に日常を言語化させてもらいつつ、自らの中学2年生でのブラジル遠征という人生の転換点を振り返り、未知の世界へ送り出してくれた両親への深い感謝を綴ります。

害虫との知恵比べと、3人で流した汗

今日は一日、いちご畑の管理作業に集中しました。

同僚オフィサー、そしてパートナー農家さんと私の3人で並び、生い茂った雑草を抜き、土壌の水分を保つためのマルチを整えていく。
半日以上、腰を落としてがっつりと手を動かし続け、心地よい汗をたっぷりとかきました。

ただ、依然として頭を悩ませているのが害虫被害です。

カタツムリやアリなどの地上からのアタックを防ぐためには、マルチを隙間なく完璧に施すのが最も手っ取り早い解決策です。しかし、手に入る資材の制約や通気性、コストのバランスを考慮すると、一筋縄ではいかない難しさがあります。

土と植物、そして虫たちとの知恵比べ。

簡単には思い通りにいかないからこそ、試行錯誤のプロセスに知的な面白さがあります。

日本からの高校生と、日常を照らし直す「外からの問い」

農家さん宅で美味しいお昼ご飯をご馳走になった後、午後からは来訪者を迎えました。

同じカカメガカウンティ(県)の別のサブカウンティ(市)で活動している協力隊員と、日本から一人で勉強のためにやってきた現役の高校生です。

同僚や農家さんと一緒に、私たちが取り組んでいるいちごやキノコのプロジェクト、そしてここマトゥングという地域の暮らしについて紹介して回りました。農家さんたちも、遠く日本から若いゲストが来てくれたことをとても喜び、温かい笑顔で迎えてくれました。

外からやってきた人のまっすぐな質問は、自分にとって「当たり前」になってしまっていた日常や活動の前提を、もう一度新鮮な光で照らし直してくれます。

「なぜこの作物を?」 「地域の人たちとはどう信頼関係を作っているの?」

そうした素直な問いに答えていくプロセスは、ここ最近自分の頭の中に溜め込んでいた思考や課題感を、クリアに言語化する素晴らしい契機になりました。

久しぶりにこれだけまとまった時間、自分の言葉で熱を込めて語ったため、終わる頃には心地よい疲労感がありましたが、こんな辺境の地にまでわざわざ足を運んでくれたことに、感謝の思いでいっぱいでした。

中2のブラジルと、原点をくれた両親への感謝

それにしても、まだ高校生という若さで、たった一人でこのアフリカ・ケニアの地へ飛び込んでくるその行動力と勇気には、素直に感嘆させられます。

彼女と話しながら、自分自身の過去の記憶を手繰り寄せていました。

思い返せば、私自身も中学2年生の夏休み、サッカーのために地球の反対側にあるブラジルへと単身で渡りました。

言葉も通じず、文化も治安も日本とは全く異なる異国の地。
あの時、肌で感じた圧倒的な世界の広さと、生々しい貧困や異文化の衝撃は、間違いなく人生における最大の転換点でした。

もしあの中学時代のブラジル経験がなかったら、私は今こうしてケニアの農村に立っていなかったはずです。
あれから色々な挫折や紆余曲折を経験してきましたが、私の好奇心とサバイバル能力の根底には、いつでもあの時の記憶が原点として息づいています。

今も自分は十分に若いと自負していますが、十代の多感な時期に、自分の足で外の広い世界を直接見ておくこと。
それは、その後の人生をどこまでも豊かで、楽しく切り拓いていくための、最高の財産になるのだと実感します。

今の私は、とても面白い人生を送っています。
いや、たくさんの人たちに支えられながら、贅沢な人生を送らせてもらっている、と言う方が正しいかもしれません。

目の前で目を輝かせている高校生の姿を見つめながら、中学生のあの時、大きな不安もあったはずなのに、未知のブラジルへと迷わず送り出してくれた両親への深い感謝が、胸の奥から湧き上がってきました。

人との出会いが、過去の原点と未来の視界を繋ぎ直してくれる。

いただいた刺激を大切に胸にしまい、明日からはまた一人で、目の前にある日常を丁寧に耕していきます。