14パック中3パックの現実と、レコードキーピングの欠如
今日は久しぶりに、朝から丸一日同僚オフィサーと行動を共にしました。
朝一番でキノコ農家さんのもとを訪れたものの、滞在時間はわずか5分ほど。同僚から電話がかかってきて、「今からハチミツの農家グループの巡回に一緒に行くよ」と誘われ、急遽そのまま合流することになりました。
仕込んだ第2サイクルの菌床ブロックは、非常に良い状態を保っていました。
白い菌糸が順調に全体へ広がっており、まずは一安心です。
移動中、私自身が遠征で任地を空けていた期間のキノコの販売状況について、同僚から話を聞きました。どうやら、想像以上に売り捌くのに苦労していたようです。街を歩き回っても、14パック用意したうちわずか3パックしか売れなかった日もあったのだとか。
同僚は「彼らは売り文句が下手だ」「営業術が足りていない」と分析していました。
もちろん、トークの技術も一因ではあるでしょう。しかし、一番の課題は、「ターゲット選定の誤り」、そして何よりも「レコードキーピング」ができていない点にあると思います。
500シリングの売上を得るために、わざわざ200シリングの交通費を使って移動してしまう。
自分がどれだけの原価をかけ、どれだけの利益を出しているのかを自分自身の計算で把握できていないため、無駄なコストをかけて足元をすくわれてしまうのです。お金の記録を付け、利益を可視化することの難しさを、改めて痛感させられました。

歌とルヤ語が飛び交うハチミツ研修と、受粉の奥深さ
合流したハチミツ農家グループの研修は、まだ立ち上がったばかりの段階で、内容自体は初歩的なものでした。
ミツバチのカースト(女王バチ・雄バチ・働きバチ)の役割分担や、現代的な遠心分離機を使った収穫技術の効率性、そしてイチゴやトウモロコシに対する「受粉(授粉媒介)」としての生態系への価値。基本に忠実な講義ではありましたが、ビギナーである私自身にとっても学びとなる要素が多く、とてもありがたい機会となりました。

ただ、ケニアの研修スタイルには独特の文化があります。
セッションの合間合間に、突然全員で手を叩いて歌を挟み、威勢の良いコール&レスポンスを始めるのです。これぞケニア流のファシリテーション。ファシリテーターから「トム、次回までにみんなで歌う歌を用意してきてね」と笑顔で振られましたが、正直嫌です…
また、言語の壁も立ちはだかります。
全体への説明はスワヒリ語と現地語(ルヤ語)のミックス、小グループでのディスカッションに入ると完全にルヤ語のみで会話が進行します。スワヒリ語であれば大枠は理解できますが、ルヤ語となると全く歯が立ちません。英語とスワヒリ語を習得するだけでも手一杯な現状、ルヤ語まで手を広げる余裕はありません。

熊本での「車座」の記憶と、常識の違う異国で人に頼る覚悟
夕方からは事務所へ戻り、同僚と現在進行のプロジェクトと、今後のプロジェクトについてじっくりと話し合いを重ねました。
10月中旬に開催を目指しているファーマーズマーケットに向けて、こちらの要望や協力を伝えました。すると早速、テントや設備の業者手配探しのために電話をかけてくれました。話が進むスピード感に救われます。
このやり取りの中で、日本にいた頃の記憶が頭をよぎっていました。
グローカル訓練時代、熊本で人数を集めた「車座」を企画・運営した時のことです。あの時、振り返って反省したのが、「もっと周囲の人々に上手に頼るべきだった」ということでした。自分一人で抱え込み、余裕を失ってしまった苦い記憶です。
日本以上に、価値観も当たり前の常識も全く異なるケニアという異国の地。
だからこそ、一人で抱え込もうとせず、現地のネットワークを持つ周囲の人々をどれだけ巻き込み、どれだけ頼れるかが成功の鍵を握ります。熊本での失敗を大切な教訓に置き換え、周囲の力を借りながら、一歩ずつイベントの形を組み上げていこうと思います。
