【ケニア派遣239日目】花芽分化を阻む「光量不足」の仮説。ミツバチが舞ういちご畑と、手作業のケア

ケニア派遣239日目。いちご畑で畝ごとの花芽分化の差から「光量不足」の仮説を立て、環境条件を揃えてモニタリングを開始。午後はキノコ農家不在で作業が1週間以上延期する不条理に直面しつつ、自主ゼミで深めた「約束の遵守」と「明確な課題感」というパートナー選定の2基準を考察。夜はお好み焼きで身体を労わり、早々に眠りについた一日を綴ります。

日当たりの影と、ミツバチが届ける希望

朝、まずはパートナー農家さんのいちご畑の確認に向かいました。

株を丹念に観察していくと、たくさんの花を咲かせているプロットがある一方で、ほとんど花がついていないプロットがあることに気づきました。

最初はチルアワーの不足や、葉ばかりが茂る窒素過多を疑っていました。しかし、全体を見渡してみると、花芽分化がまったく起きていないのは、あきらかに日当たりの悪い2つの畝だけに集中しています。 どうやら、原因は「光量不足」にありそうだ、という仮説に行き着きました。

まずは日当たりなどの光量条件を全体で均一に整えた上で、今後の変化をモニタリングしてみようと思います。原因を推測し、環境を揃えて経過を追う。
こうした観察と検証の繰り返しこそが、現場での栽培技術を確かなものにしてくれます。

現場では相変わらず、苗の現金化を急ぎたいのかランナー(蔓)が伸び放題になっており、雑草も目立っていました。放置されているわけではありませんが、手入れが行き届いていない部分には自分でも少し手を動かして剪定と整枝を行いました。

一方で、日当たりの良い区画ではたくさんの可憐な花が咲き誇り、そこへミツバチたちが飛来して元気に受粉を助けてくれていました。自然の循環が綺麗に回り始めている光景を目にすると、これからの収穫に向けて確かな手応えと明るい予感が胸を満たします。

1週間遅れの延期と、「パートナー選定」のふたつの条件

午後は、キノコ農家さんのもとへと足を運びました。

しかし、現場に本人の姿はありませんでした。 出来上がったキノコの販売自体はすでに彼らの手で進めてくれていたようですが、期待していた「第2サイクル」の仕込み作業は、またしても延期となってしまいました。当初は先週の水曜日に開始する予定だったため、気づけばすでに1週間以上のタイムラグが生じています。

これもケニアの日常かと苦笑いしつつも、どうすれば農家たちのモチベーションを引き出し、持続的な自主性を育てられるのか、という問いが改めて頭をよぎりました。

袋に詰め終わったので、次は滅菌作業。

このテーマは、昨夜の「農業関連隊員の自主ゼミ」でも、先輩隊員たちと議論を交わしたばかりでした。

普及活動において、どのようにして信頼できる真のパートナーを選び、見極めていくべきか。 昨夜の対話を通して、私の中で明確になった主な基準は大きく2つあります。

1つ目は、「約束を守れるかどうか」です。
例えば、「次回までにこれを準備しておいてほしい」と小さな課題を出したとき、期日までにしっかりと形にしてくれているか。仮に作業が終わっていなかったとしても、少なくとも自ら手を動かしたアクションの跡が見えるか。
そして、打ち合わせの時間や日程を尊重できるか。この最低限の信頼関係が構築できない相手とプロジェクトを進めるのは、どうしても限界があります。

2つ目は、「自主的に行動を起こし、その上で明確な課題感や疑問を持って話しているか」です。
課題感が「なんだか儲かりそうだから」といったフワッとした状態のままだと、壁にぶつかった時に簡単に諦めてしまい、活動が長続きしません。 以前、農業展示会などを訪れた際にも感じましたが、自ら積極的に情報をキャッチアップしようと足を動かす人は、当事者意識が高く、自分の畑に対する「具体的な課題感」をはっきりと抱いている傾向が強いと感じます。

この2つの基準をしっかりと満たすパートナーを見極め、彼らに対して集中的にリソースを注ぎ込んでいくこと。 昨夜言語化したこのロジックを、これからの現場での立ち回りにしっかり活かしていきます。

床に炭を巻く。室温を下げるのに役立ちます。

包丁の音と、8時過ぎの深い眠り

夕方、帰宅。

一日の疲労を解きほぐすように、夜ご飯には自分で「お好み焼き」を作ることにしました。

キャベツを刻み、生地を混ぜ、フライパンの上でじっくりと焼き上げていく。香ばしいソースの香りが部屋に立ち込めると、それだけで心がホッと和らぐのを感じます。出来上がった熱々のお好み焼きを口に運ぶと、素朴な旨味が全身に染み渡っていきました。

しかし、食べ終わった直後、猛烈な睡魔と倦怠感が波のように押し寄せてきました。

時計を見ると、まだ夜の8時を少し回ったところ。 連日の暑さのなかでの肉体労働、そして頭をフル回転させた考察によって、自分が思っている以上に身体と脳が限界まで疲弊していたのだと思います。

食器をサッと片付け、無理をせずにそのままベッドへと倒れ込みました。

不条理な延期も、現場の課題も、一度すべて暗闇の中に置いて。

今夜は身体が求めるままに深い眠りに身を委ね、明日からの現場に向けて、たっぷりとエネルギーを充填します。

スイカの皮の漬物。1ヶ月分くらいありそう。