加速する時の流れと、200日目を迎える前の引き締め
最近、時の流れのスピードが加速度的に速くなっている気がします。 気がつけばもう水曜日。着任半年のハーフマークを越えてからすでに20日近くが経過し、ついに200日目の節目がすぐ目の前にまで迫ってきています。
「もうそんなに経ったのか」と、カレンダーをめくるたびに驚いてしまいます。
しかし、この時間の加速は、決して悪いことではありません。それだけ毎日、自分の足で動き、頭を使い、現場でやるべきタスクに向き合えている証拠です。そして、マトゥングの不便なインフラや現地の空気感、同僚たちとの関係性が、自分の中で当たり前の”日常”として身体に馴染んできたからでもあると思います。
慣れてきたからこそ、流されるように日々を消費してしまわないように。
今一度、一日一日を大切に、目の前の農家さんや作物と丁寧に向き合っていこうと、気持ちを新たに引き締める朝でした。

エアコンなき冷房:枯れバナナの葉と散水が作る「18℃以下」の世界
今日は朝から、きのこ栽培での重要な最終工程に取り組みました。 トレーナーの方が現場に駆けつけてくれ、一緒に袋を開ける作業を行いました。
これまでは、菌床袋の中でひたすら菌糸を蔓延(コロナイゼーション)させる暗闇のフェーズでした。今日からは、しっかりと菌糸が全体に白く広がった優秀な袋を見極めてハサミを入れ、発芽(キノコを発生させる)を待つ、一番エキサイティングな段階に入ります。
ただ、キノコが発芽するためには、一つ決定的な条件があります。それが「低温環境」です。 厳密には、発芽を促すためには「18℃以下」の温度刺激が理想とされています。
当然、私たちの泥のきのこ小屋には、エアコンなんて便利な冷房機器は存在しません。一年中、安定して気温が低くなることのないケニアの田舎。その環境で、いかにして「18℃以下」の冷涼な空間をデザインするか。

そこには、驚くほどアナログで、かつ極めて合理的な「現地の知恵」がありました。
まず、小屋の気流を促すために適切な位置に窓を切り出します。 そして、遮熱と断熱のために、屋根の上に「枯れたバナナの葉」をこれでもかと厚く敷き詰めます。 仕上げに、小屋の内部や地面に定期的に水を撒きます。水が蒸発する際に周囲の熱を奪う「気化熱」の作用によって、小屋の内部の温度は、外気温に比べて劇的に下がります。
さらに、床に炭を撒けば、調湿と断熱の効果がさらに高まって完璧だそうです。
先端のテクノロジーに頼るのではなく、身近にある自然の素材(バナナの葉や炭)と物理の法則を組み合わせて、自分たちの手で最適な環境を作り出す。
この地にはいつくばるような工夫のプロセスは、まさに技術革新だと感動させられました。

「発芽から3日」のシビアな黄金ルールと、すぐそこにある収穫
さて、待ち焦がれたその瞬間は、もう本当にすぐそこまで来ています。
実際、昨日見つけた袋の小さな虫穴からフライングしてツノを出していたキノコは、この散水と温度管理の甲斐あってか、順調に成長を続けています。 トレーナーに確認してもらうと、なんと「明日にはもう食べられるレベルだよ」とのこと。
キノコが発生してからの成長スピードは凄まじいものがあります。 大体、発芽してから「約3日」が収穫の黄金期。その3日のタイミングを少しでも過ぎてしまうと、キノコの傘が開きすぎてしまい、水分が抜けて食感も味も一気に落ちて、商品価値がなくなってしまうのだそうです。
「いつ収穫するか」というタイミングの選定が、極めてシビアで重要になります。明日、自分が仕込んだ最初のきのこを収穫し、口にできるかもしれないというワクワク感で、今から胸が高鳴っています。

帰宅後、今日は久しぶりに、サッカーW杯で見たい注目のカードがなかったため、夜更かしをせず、久しぶりに早い時間から布団に潜り込むことにしました。
明日はいよいよ、待ちに待った最初の収穫の日。
最高の瞬間を五感で味わうために、今夜は泥のように深く、心地よく眠りにつこうと思います。