【ケニア派遣183日目】緑カビに消えた120袋のきのこ。失敗から這い上がったいちごの原点を胸に、再び前を向く

ケニア派遣183日目。約1週間ぶりに確認したきのこ栽培プロットで、大量の緑カビが発生。全体の約半分にあたる120袋を廃棄・隔離することになった苦い教訓から、病害虫管理と保存環境の課題を分析。いちごのスタート時の苦い経験を思い出し、不屈の精神でリスタートを誓います。

緑の侵食と、120袋の苦い教訓

今日は、1日「きのこデイ」。

約1週間ぶりに、植菌した菌床袋の様子を確認しに農家さんのもとへ向かいました。
しかし、保管場所に足を踏み入れた瞬間、目の前の光景に言葉を失いました。

あちこちの袋が、不気味な緑色に染まっている。 カビです。

一つや二つの袋だけならまだしも、棚を見渡すと大量の袋にカビが広がっていました。
仕込んだもののうち、実におおよそ半分、約120袋はもうおそらく使い物になりません。

カビが完全に広がってしまったものはその場で泣く泣く廃棄し、まだほんの少しだけ望みがありそうなものは、これ以上の感染を防ぐために急いで別室へと移動させました。

冷静になって、原因をいくつか洗い出してみます。 最も大きな要因として考えられるのは、病害虫。 よく観察してみると、いくつかの袋に小さな穴が開けられていました。おそらくそこから虫が侵入し、雑菌を媒介してしまったのでしょう。

また、そもそも部屋の保存環境や湿度管理がカビを呼びやすい状態だったこと、あるいは最初の段階での培地の滅菌が足りていなかった可能性もあります。

もしも、高い頻度ですべての袋を細かくチェックしていれば、もっと初期の段階でカビの広がりを食い止められたはずでした。しかし、ここの農家のパートナーたちは、私たちが訪問するまで袋のチェックすらしていなかったようでした。

一緒に行った同僚もかなり落ち込んでいるのが見て取れました。それでも、必死に農家の人たちを励まそうとしてくれている同僚の姿が、とても救いでした。 これは初めての共同トライアル。失敗を含めて、すべてが彼らにとっても私にとっても財産であり、大きな学びです。

農業には、コントロールできない外的要因が本当に多い。 だからこそ、私たちができる対策を極限まで尽くし、リスクを1%でも減らしていくしかない。 全滅を免れた残り半分のきのこたちが、無事に立派な実をつけてくれることを、今はただ祈るばかりです。

「何も残さない中国人」という言葉の重み

事務所に戻ったあと、同僚と少し込み入った会話をしました。

昨日、実習生と私の2人だけで農家さんを回っていた際、例の酔っ払ったおじさんに絡まれたのですが、その時に実習生が裏でかなりきつい言葉を浴びせられ、困惑していたのだと打ち明けてくれました。

「あの中国人は、ただのリサーチのために来て、私たちを良いように使うだけ使っている。どうせ何も残さずに去っていくんだから、相手にするな」

お酒を買ってくれという要求を毅然と断ったから、その腹いせに放たれた言葉だったのかもしれません。ただ、その言葉の裏にある「本音」のようなものは、私の胸に重く突き刺さりました。

話を聞いた同僚は、私に静かに語りかけてくれました。
「すべての農家に、君の活動を正しく理解してもらうのは本当に難しいこと。実際はそうでなくても、現地の人々からすれば、君は『お金を持っている外国人』に見えてしまう。もちろん一部の理解ある農家は君の熱意を分かってくれているけど、村を歩くときは、できる限り私たちケニア人の同僚と一緒に行動した方がいい」

実際、身の危険を感じるような瞬間こそありませんが、村の小道を1人で歩いていると、すれ違う村人から「1人で歩くのは危険だから、気をつけなさい」と真顔で忠告されることも時々あります。

同僚たちもそれぞれ自分のタスクがあり、24時間いつも一緒にいられるわけではありません。けれど、不必要なリスクを避け、現地での信頼関係をより強固なものにするためにも、これからはさらに意識して行動します。

隠れた豚肉と、いちごの始まりを信じて

帰り際、この街で豚肉を購入できる極秘の場所を教えてもらいました。

細い路地を抜け、建物の裏手にひっそりと隠された、知る人ぞ知る場所。
このエリアはムスリムが非常に多いため、表立って豚肉を販売はされていないようです。
価格も他の一般的な市場と比べて、1キログラムあたり1.5倍以上の高値がつけられていました。 隠された禁断の食材を手に入れるような、不思議なローカル体験でした。

今日起こったきのこの大量カビ発生、そして心無い言葉の棘。
正直、ガクッときてしまうような出来事が重なった1日でした。

しかし、家路を歩きながら、私は初めてこの任地でいちご栽培をスタートさせたときのことを思い出していました。あの時も、スタートダッシュはまったく上手くいかなかった。何度も躓き、苗がダメになり、それでも農家さんと這いつくばって試行錯誤を繰り返したからこそ、今の「畑4倍、苗5倍」の自立した景色があるのです。

きのこだって、まだ始まったばかり。 今回の120袋の失敗は、次の一歩を大きくするための最高の教科書です。 いちごの時のあの泥臭い不屈の精神をもう一度呼び起こして、明日からもめげずに、一歩ずつ進んでいきます。