8,000シリングのガスと、プロの配管工
朝イチでガソリンスタンドへ向かい、調理用のガス(LPガス)を購入しました。 ケニアの一部家庭にはIHもありますが、基本は「炭」「薪」そして「ガス」です。 ガスはスタンドやスーパーで購入できます。
価格は16kgで約8,000シリング(約8,000円)。 タンクのデポジット(容器代)が3,800シリング含まれているので、次回以降のリフィル(充填)は約3,000〜4,000シリングで済みます。 それでも、私の自炊頻度だと2〜3ヶ月持つとはいえ、現地の物価からするとかなり高額です。癖で値下げ交渉をしましたが、会社で決まった価格だからと半笑いであっさり断られました(笑)。
ガソリンもリッター180シリング(約180円)前後。暫定税率が含まれた日本よりも高いくらいです。

【調査】なぜケニアのガソリンは高いのか? ケニアでは2023年の財政法(Finance Act 2023)により、燃料にかかる付加価値税(VAT)が8%から16%へと倍増されました。さらに、政府の財政難により燃料補助金が撤廃されたこと、通貨(シリング)安による輸入コスト増が重なり、価格が高騰しています。
重いガスボンベを何とか運び込み、帰宅。 入居してからシャワーが出ないトラブルに見舞われていましたが、大家さんが呼んでくれた配管工が15分で解決してくれました。 迷いのない手際。プロフェッショナルな仕事ぶり。「かっこいい」と素直に感動しました。

会議:依存体質と若者の「計算」
仕事へ。今日は来訪者が多く、カウンティの農業事務所ダイレクターも交えて複数の重要なミーティングが行われました。 議論の中で、ケニアの開発現場が抱える根深い課題が浮き彫りになりました。
「あなたの機械が壊れた」という病
特に印象的だったのは、プロジェクト機材の管理に関する議論です。
参加者からは、地域住民の「依存体質(Dependency Syndrome)」に対する強い不満が漏れました。
ドナーや支援者が機材を提供しても、住民はそれを「自分たちのもの(Our machine)」とは認識しません。 故障した際、彼らは自分たちで直そうとせず、こう連絡してくるそうです。
「あなたの機械が壊れた(Your machine is broken)」
住民のコスト負担(貢献)がゼロであるため、オーナーシップ(当事者意識)が生まれない。 些細な故障でプロジェクトが頓挫してしまう典型例です。支援とは何か、深く考えさせられます。
若者は「計算」してから動く
また、肥料配布のラストワンマイル問題と並行して、「若者の就労意識」についても語られました。
「今の若者、特に教育を受けた若者は、計算(Math)をしてから動く」
彼らは利益(Benefit)が見えなければ働きません。 「仕事があるぞ」と声をかけても、彼らはまず頭の中で計算機を叩き、割に合わなければ動かない。汗をかくことを厭わない世代とは違う、現代の若者のリアリズムがそこにはありました。
キャッサバ・プロジェクトの引渡し
午後には「キャッサバ振興プロジェクト」の完了検査と引渡し会議に参加しました。 昨年から進められていたプロジェクトの総仕上げだそうです。
「事務所に置いておくビジネスはない」
ここでも機材(チッパーや粉砕機)の保管場所が議論になりましたが、結論は明確でした。 「機材は使わなければ意味がない。農業事務所に保管しておく用事(ビジネス)はない」 今日中にコミュニティ(農家)へ引き渡すことで合意されました。 管理リスクを恐れて事務所に死蔵させるのではなく、現場に委ねる。ダイレクターの英断だと思います。
そもそも、なぜこれほどキャッサバに力が入れられているのか。 ダイレクターは「マツングをキャッサバのハブにする」と熱弁していましたが、背景には食料安全保障(Food Security)の切実な事情があります。

【調査】なぜ今、キャッサバなのか?
- 気候変動に勝つ「サバイバー」: トウモロコシ(メイズ)が干ばつで全滅しても、キャッサバは生き残ります。耐乾燥性が高く、痩せた土地でも育つため、飢饉を防ぐ「最後の砦」として再評価されています。
- 地面がそのまま「倉庫」になる: 成熟後も2〜3年は地中に植えたまま保存可能。冷蔵庫や倉庫がない農村部では、地面を「生きた備蓄庫」として使えるメリットは計り知れません。
- 脱・メイズ依存: ケニア人の主食はウガリ(メイズ)ですが、病気や天候のリスクが高い。リスク分散のためにも、キャッサバへの多角化(ダイバーシフィケーション)が国家戦略として推奨されています。
単なるイモの話ではなく、国の命運をかけたプロジェクトなのだと理解すると、会議の熱量にも納得がいきます。
病院視察と安心感
夕方からは、ナイロビ事務所から出張で来られたJICA健康管理員の方と、街の病院を視察しました。 設備、薬の在庫、病床数、24時間体制の有無などの確認です。
案内してくれた医師の英語は非常に綺麗で、久しぶりにストレスなく聞き取れました。 病院は想像以上に大きく、設備も整っています。 「何かあっても、よっぽどのことでなければ大丈夫そう」 そう思えるだけで、心の安全基地が確保された気がします。
案内してくれた方は栄養管理担当でもあり、農業事務所との連携も多そうなので、連絡先を交換しました。ここにも新しい種まきができました。

視察後、遅めの昼ごはんへ。 少しだけいい感じのお店に入ったのですが、味付けが抜群に美味しかった。 値段を取るだけのことはある。やはり「美味しい」は正義です。
今日は生活のセットアップから、濃厚な会議、病院視察まで。色々やって疲れました。
明日からは農家回りが始まります。ゆっくり寝て備えます。



コメント