【ケニア派遣335日目】きのこを広めるために、何をすべきか

ケニアでオイスターマッシュルームを広めるには、何が必要なのか。イノベーション普及理論を手がかりに、きのこへの不安や信頼の壁を考えながら、AIを活用した動画マーケティングへの挑戦と、普及に向けた試行錯誤を綴ります。

まずは、量を作ってみる

今日は一日、AIと会話していました。

きのこに関するショート動画を大量に作成し、配信してみるためです。

正直、今のクオリティは低い。
これを世の中に出すのは、少し憚られる気もします。

でも、まずは質より量。量質転化という言葉もあります。
とにかく量を作ってみる。配信して、反応を見て、学習して、少しずつクオリティを上げていく。

できることは、すべてやってみる。

今は、そんな段階だと思っています。

美味しいのに、食べてもらえない

先日のきのこトレーニングでは、参加者のみんなが、とても美味しそうにきのこを食べていました。
一方で、道端で出会った人にきのこをあげようとすると、嫌がられることがあります。

毒があるのではないか、と警戒される。

同じきのこなのに、反応がまるで違う。
この違いを考えると、きのこのマーケティングは、単に美味しさを伝えるだけでは足りないのだと思います。

そもそも、食べたことがないものを口にするのは、少し怖い。

見慣れないきのこであれば、なおさらです。

どれだけ美味しくても、食べる前に「これは安全なのか」「どうやって調理するのか」という疑問があれば、手を伸ばすことは難しい。

美味しさを知ってもらう以前に、食べてもらうための信頼が必要なのです。

イノベーター理論で考える

ここで、イノベーター理論を思い出します。

新しい製品や考え方が、社会の中でどのように広がっていくのか。

エベレット・ロジャーズのイノベーション普及理論では、採用する人たちを、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードという段階に分けて考えます。

一般的な区分では、イノベーターが約2.5%、アーリーアダプターが約13.5%。その後に、アーリーマジョリティが続きます。

もちろん、これは人を固定的に分類するものではありません。
同じ人でも、ある商品には早く飛びつく一方で、別の商品には慎重になることがあります。

それでも、新しいものが広がる過程を考えるうえで、面白い視点です。

今のケニアのきのこ市場は、どの段階にあるのでしょうか。

まだ、きのこを食べることに抵抗がある人も多い。

一方で、すでに購入してくれる人や、トレーニングで試食してくれる農家さんもいます。
私の感覚では、今はイノベーターやアーリーアダプターに受け入れられ始めた段階なのだと思います。

ただし、ここから先が難しい。

キャズムを越えるには

アーリーアダプターが受け入れてくれたものを、アーリーマジョリティまで広げていく。

この間には、いわゆる「キャズム」と呼ばれる溝があります。

新しいものに興味を持ち、自ら試してくれる人たちと、すでに多くの人が使っているものを安心して選びたい人たち。

両者の間には、単なる好みの違いだけではなく、判断の仕方そのものに違いがあるのだと思います。

きのこで考えるなら、最初に試してくれる人たちは、新しい食材への好奇心が強いのかもしれません。

でも、もっと多くの人に買ってもらうには、それだけでは足りない。

「美味しいらしい」ではなく、「自分も食べて大丈夫そうだ」と思ってもらう必要があります。

ここで重要になるのが、きのこそのものの価値だけではなく、その価値をどう伝えるかということです。

ロジャーズの理論では、新しいものが広がるかどうかは、受け手がどう認識するかによっても変わります。

例えば、きのこが普段の食事に取り入れやすいこと。調理が簡単であること。実際に食べた人が美味しそうにしていること。少量から試せること。

こうした要素が、きのこを受け入れるためのハードルを下げてくれるのだと思います。

動画は、信頼を届けるための実験

だから、今、ショート動画を作っています。

きのこの美味しさを伝えるだけではなく、きのこを食べることへの不安を少しずつ取り除いていく。

調理方法を見せる。
食べている人の反応を見せる。
普段の食事に取り入れられることを伝える。

いろいろな切り口を試してみたいと思っています。

特に、Gen Zはショート動画を見る機会が多いです。
若い世代からきのこに親しんでもらい、その周囲へと広げていくことも、一つの方法だと思っています。

一方で、オンラインだけで市場が広がるとは思っていません。
動画を見てもらうことと、実際に買ってもらうことは別です。

試食や対面でのコミュニケーション、マーケットでの販売、そして実際に食べた人からの口コミ。

オンラインとオフラインの両方で、あの手この手を試していく必要があります。

できると思っている

今のところ、きのこを食べてくれた人たちの反応を見る限り、ケニアの人たちの味覚にも、十分に合っていると感じています。

もちろん、まだ限られた人たちの反応です。
これだけで市場全体の需要があるとは言えません。

それでも、可能性はあると思っています。

問題は、どうやってその美味しさを知ってもらうか。
どうやって信頼を届けるか。
どうすれば、初めての人が一口食べてみようと思えるのか。

そのために、一つの施策として、動画を作り、試し、反応を見てみます。

イノベーター理論は、きのこが広がる過程を考えるための一つの地図です。

ただ、地図があるからといって、必ず目的地にたどり着けるわけではありません。

実際に歩いてみて、どこに溝があるのかを確かめる必要があります。

まずは、できることをすべてやってみる。

きのこが広がる可能性を信じて、試行錯誤を続けていこうと思います。