【ケニア派遣319日目】自然相手の仕事と、パソコンの前の仕事

JICA海外協力隊、ケニア派遣319日目。農家の栽培部屋で半分以上の菌床がカビに侵されている惨状に直面し、収量が伸びず虫に食われるいちごの現実とともに、自然を相手にする農業の苦しさに心が折れそうになる。午後はAIを相棒にスプレッドシートやドキュメントと向き合い、パソコンの前で思考を形にしていく一日を綴ります。

自然は思いどおりにならない

午前中は農家さんのもとを訪問し、畑の様子を確認しました。

まずはキノコ。

……悲惨な状況でした。

半分以上の菌床がカビに侵されています。

原因はいくつか考えられます。滅菌作業の際にドラムへ詰め込みすぎたこと。詰め込みすぎた状態で、滅菌時間が短かったこと。あるいは、植菌作業中の衛生管理に問題があったのかもしれません。

まだ断定はできませんが、何かしらの工程に問題があった可能性が高そうです。

そして、いちごも相変わらず収量が伸びません。

ようやく実がなっても、適切なタイミングで収穫できず、虫に食べられてしまっているものがあります。

育てるだけでも難しいのに、収穫のタイミングまで逃せない。

原因を考え、改善策を試し、また様子を見る。頭ではわかっていても、実際にやってみるとなかなか思うようにはいきません。

いやー、農業は難しい。

どれだけ考えて手をかけても、作物は思いどおりに育ってくれるわけではありません。天候や気温、湿度、病害虫など、さまざまな要因が絡み合っています。

もちろん、人間の管理次第で改善できる部分もあります。ただ、すべてを自分の力でコントロールできるわけではありません。

目の前で作物がダメになっていくのを見ると、やっぱり悔しいものです。

それでも、こうして思いどおりにいかないことが、農業の面白さでもあるのだと思います。

もし、何をすれば必ずうまくいくのかがわかっていて、そのとおりに作業すれば毎回同じ結果が得られるのなら、農業はもっと簡単かもしれません。

でも、実際はそうではありません。

同じように育てているつもりでも、結果が違うことがある。
うまくいかなかった原因を考え、仮説を立て、次の方法を試してみる。

もちろん、できることなら失敗は避けたい。そ
れでも、原因を探りながら少しずつ改善していく過程には、自然を相手にする仕事ならではの面白さがあります。

自分の思いどおりに自然を動かすのではなく、自然の反応を見ながら、自分のやり方を変えていく。

まだまだわからないことばかりですが、だからこそ学ぶことが尽きないのかもしれません。

パソコンなら、思い描いた形に近づけられる

午後は家に戻り、パソコン作業です。

次回のファーマーズマーケットに向けた企画書や、前回の結果を分析するためのスプレッドシートを作成していました。

こういう作業では、AIが本当に頼りになります。

頭の中にあるアイデアを言葉にして、構成を考え、必要な項目を整理する。表の作り方を相談したり、文章を修正したりしながら、少しずつ形にしていきます。

自分だけで一から取り組んでいたら、何日もかかっていたかもしれません。

もちろん、AIに任せればすべてが完成するわけではありません。
出てきたものを確認し、自分の目的に合うように修正する必要があります。

それでも、パソコンの作業は比較的、自分の思い描いた形に近づけていくことができます。

自分の考えを整理し、工夫しながら、目に見える成果物へと変えていく。思いどおりにならなければ、自分で修正して、また試す。

そういう意味では、農業と似ている部分もあるのかもしれません。

作業のおとも。黒い飲み物。(モリンガ・ミント×ジャスミンティー)
小さい頃のドリンクバーみたいになっちゃった。

ただ、大きく違うのは、自分の工夫が結果に反映されるまでの過程です。

パソコンの前では、自分の考えを形にしていく楽しさがあります。

一方、農業では、自分の思いどおりにならない自然と向き合い、その反応から学んでいく楽しさがあります。

自分で考えたとおりに進められることも楽しい。
自分の想定を超えた結果に出会い、そこから新しいことを学ぶのも楽しい。

どちらも何かを形にしていく仕事ですが、その過程はだいぶ違います。

個人的には、パソコンの前で作業するほうが、比較的やりやすいと感じます。
自分の考えを形にできるし、AIに相談することもできる。

農業の現場で思うようにいかないことが続くと、パソコンの前で作業する時間が、少しほっとできる時間にも感じられます。

ただ、思い描いた形に近づけられるからといって、すぐに完成するわけではありません。

昨日の夜から今朝、そして午後まで、構成を考え、修正を重ね、気づけばかなりの時間を費やしていました。

便利な道具があっても、考えることは尽きません。