【ケニア派遣278日目】9割の空振りと、1割の奇跡。カカメガ商工会議所で痛感した「人がすべて」の草の根活動

ケニア派遣278日目。カカメガの商工会議所(KNCCI)と朝9時きっかりに始まったミーティング。海外展開やイベント招待など思わぬ広がりを見せるなか、決まった現場を持たないコミュニティ開発において「人脈こそがすべて」である真理を考察。9割が無駄に見える出会いの中から1割の光を手繰り寄せる仕事の醍醐味と、今週の疲労で19時過ぎに寝落ちしたリアルな夜を綴ります。

定刻通りの9時と、カカメガ商工会議所での対話

朝からカカメガのタウンで大切なアポイントメントがありました。

相手は、カカメガの商工会議所(KNCCI)の方々。 9時開始の予定で向かったのですが、驚いたことに、時間きっかりに担当者が席について待っていてくれました。

ケニアで活動していると、予定時刻に相手がいないことは日常茶飯事です。時間通りに始まらないことに慣れきっていたため、定刻通りに人が揃っている光景に、逆にこちらが目を丸くしてしまいました。国内外のビジネスパーソンと日常的に連携している組織だからこそ、時間の規律が当たり前の文化として根付いているのかもしれません。幸先の良さに背中を押されながら席に着きました。

ミーティングは1時間弱ほどでしたが、想像以上に熱気があり、私たちのキノコプロジェクトの可能性をグッと押し広げてくれる実り豊かな時間となりました。

商工会議所自体が独自に海外拠点や太いパイプを持っており、小規模農家をグループ化して集荷し、品質検査や証明書の手続きを経て空輸する輸出支援の構想を持っていること。さらには、10月に開催される地域のビジネスフォーラムへの出展の打診までいただくことができました。

もちろん、話に出た構想がどれほどのスピードで現実のものになるかは、これからの調整次第です。 それでも、普段マトゥングの村の中で農家さんと向き合っているだけでは決して見えてこない、一段高い視座からのネットワークとアイデアに触れることができ、大きな手応えとワクワクを感じる対話となりました。

コミュニティ開発は「人」がすべて。1割の当たりを引く仕事

この商工会議所とのミーティングを終えて、歩きながら改めて実感したことがあります。

それは、私たちが携わっている「コミュニティ開発」という活動において、人脈こそがすべてだという事実です。

看護師や助産師のように決まった病院の現場があるわけでもなく、小中学校の教員のように毎日教壇に立つ教室が用意されているわけでもない。 私たちコミュニティ開発隊員には、決まったオフィスも、あらかじめ用意された確実なレールも存在しません。真っ白なキャンバスの上に、自分自身の足で活動の輪郭を描いていく必要があります。

だからこそ、どこまで行っても「誰と出会うか」が活動の生命線になります。

普段のフィールドワークの中で、本当にたくさんの農家さんや地域の人々と立ち話を交わします。 しかし、その会話や出会いが実際のプロジェクトの成果にダイレクトに結びつくことなんて、全体の10%にも満たないのが現実です。

このブログに一行すら書き残さないような、他愛もない挨拶や、その場限りの立ち話、あるいは期待して足を運んだものの何も生まれずに終わった空振りの方が、圧倒的に多数を占めています。

それでも、その9割以上の「何にもならなかった出会い」の集積の中に、たまにポツリと、今日のような素晴らしいキーパーソンとの出会いが転がっています。そして、その一つの点が、過去に出会った別の農家さんやプロジェクトと、思わぬ角度で線として繋がっていく瞬間が訪れます。

この仕事は、一発で正解を当てるスマートなゲームではありません。 大量の空振りを引き受けながら、当たりくじを引くまで愚直に人に会い続ける、とても地道な作業です。

幸いなことに、今の私には「外国人」という、現地で強烈に目を引くアイデンティティがあります。 外国人だからという理由だけで、普通なら会えないような組織のトップや行政のキーマンが、興味を持ってドアを開けてくれることがたくさんあります。使える手札は、遠慮なく使い倒す。

時間はかかるし、客観的に見れば無駄な遠回りを山ほど繰り返しているのだと思います。 最終的なアウトプットがどんな形に着地するかも分かりません。

でも、この手探りの道中そのものを面白がりながら、良い人と良い人を繋ぐハブとして動き回る。
それが、この地で私が果たすべき役割なのだと腹に落ちました。

19時過ぎのシャットダウンと、今週の心地よい疲れ

午後は、タウンで週末に向けた買い出しを済ませ、乗合バスに揺られて任地の我が家へ戻りました。

買い物の最中、いつもならマシンガントークで話しかけてくる顔馴染みの物売りのおばちゃんが、今日は簡単な挨拶だけでサッと身を引いてくれました。 おそらく、私の顔に隠しきれないほどの疲労感が滲み出ていたのだと思います。相手に余計な気を使わせてしまうほど、エネルギーが切れかかっていました。

部屋に戻り、荷物を置いたところまでは覚えています。 しかし、気がついたときには、まだ夜の19時を少し回った時間帯だというのに、ベッドの上で完全に意識が飛んでいました。

どうしてこれほどまでに強烈な睡魔に襲われたのか、自分でも一瞬不思議でした。 ただ、振り返ってみると、今週は様々なアポイントメントやミーティングが連日重なり、夜遅くまで画面越しに言葉を交わす時間も続いていました。知らず知らずのうちに、頭のワーキングメモリを限界まで使い果たしていたのだと思います。

頭を使い、人と会い、言葉を尽くした一週間。 今週も、自分なりにしっかりと戦い抜きました。

心地よい重みを持った疲労感をそのまま受け入れながら、週末はしっかり休みます。