過去最高20パックの収穫と、予想外の大きなオファー
日本ではお盆シーズンですが、ケニアでは関係なし。
今日から、またいつも通りの1週間が始まります。
まずはパートナー農家さんのもとへ巡回に向かいました。
栽培部屋に入ると、農家さんたちは手順通りにきっちりと「植菌」の工程まで作業を進めてくれていました。 一度発生してしまった青カビによる大量廃棄の痛い経験があるため、いかに汚染される袋を減らせるかが勝負です。こまめなモニタリングを怠らず、衛生管理に細心の注意を払ってもらうよう改めてポイントを共有しました。

そして、今日の収穫量は過去最高となる20パック(4kg)を記録しました。
まだまだスモールスケールではあるものの、棚一面にたわわに実ったキノコを一度に収穫できるのは、単純にテンションが上がります。売り切る工夫は一筋縄ではいきませんが、この水準の収量が安定して確保できるのであれば、少し離れた大きな町の市場やレストランへ本格的に営業をかけに行く選択肢も現実味を帯びてきます。
そんなことを考えていた矢先、知人とWhatsAppでメッセージを交わしていたところ、「水曜日に6kg注文したい」という驚きの連絡が舞い込んできました。
あいにく今の私たちの生産キャパシティでは、一度に6kgもの量を揃えて出荷することは不可能です。正直に「その量は届かない」と伝えたところ、「それなら、ある分だけでもいいから全部買いたい」と言ってもらえました。
小ロットの配送は交通費のコストがかさむため、損益の調整は必要です。
しかし、普段から何気なくコミュニケーションを繋いでいたからこそ舞い込んできたこのチャンス。すぐには要求を満たせなくても、日頃から関係性を維持しておくことの価値を痛感させられた瞬間でした。

100シリングの「認知の壁」と、完成した防鳥ネットの感動
午後は、新しい販路開拓のために地元の病院を訪れました。
すでに何度か購入してくれているリピーターの方が笑顔で迎えてくれる一方で、多くのスタッフからは首を横に振られてしまいました。
「今まで見たことも食べたこともないものは、買いたくない」
たった100シリング(約100円)程度の金額です。病院スタッフの彼らが買えないわけではありません。 やはり、安全かどうかもわからない未知の食材に対して、人は100円であっても財布を開かないのです。まさに「認知と体験の壁」でした。
「味や調理法がわかる試食があれば考えるのに」という現地の人々の声を聞き、計画しているフィールドデイで、調理したキノコを食べてもらう試食プログラムを組み込もうと思いました。
夕方からは、いちごのプロットへ足を伸ばしました。
先週、地元のプロの大工さんにお願いして建築を進めてもらっていた「防鳥ネット」の現場確認です。
畑に到着すると、そこには見事に組み上がった立派なネットがそびえ立っていました。
最初に彼女と一緒に手探りで始めた頃は、本当にささやかで小さな区画に過ぎませんでした。それが今や、鳥害を防ぐ立派なインフラを備えた立派な農園へと姿を変えている。そのプロの仕事ぶりと、プロジェクトが目に見える形に進化していくプロセスに感動を覚えました。

害虫との知恵比べと、ベランダに広がる小さなオアシス
防鳥ネットによって空からの敵は遮断できましたが、地上には依然としてカタツムリやアリといった害虫の課題が残されています。
せっかく膨らみ始めた果実が被害に遭わないよう、今度はマルチの改善や目視での駆除など、地道に一つずつ課題を潰していく作業を続けていきます。一網打尽の解決策はありません。目の前の不都合に対して知恵を絞り、手を動かし続けることこそが、農業の醍醐味です。
作業の終わり際、農家さんから、フレッシュなバジルの苗を分けてもらいました。
我が家に持ち帰り、さっそく鉢に植え替えました。
ミント、バジル、いちご、そしてアボカド。 気づけば、自宅の小さな家庭菜園のバリエーションが、着実に賑やかになってきています。
朝起きて、ベランダの緑に水を与え、日々の成長を観察する。
ケニアの不便な暮らしのなかで、手元にある小さな植物たちを育てる時間は、私にとってかけがえのない癒やしであり、純粋な楽しさに満ちています。
植物たちは、我が子のように可愛いです。
売り切る難しさや害虫の試練は絶えません。
しかし、形になった防鳥ネットの頼もしさと、緑が深まるベランダの植物たちにパワーをもらいながら。
明日もまた頑張ります。
