【ケニア派遣125日目】「お金を払えば全て動く」。マッシュルーム始動で見えたケニア流の潤滑油と、黒子の覚悟

カカメガでの活動
カカメガでの活動

毎日が仕事で、毎日がオフ

今日からまた新しい1週間が始まります。

と言っても、昨日(日曜日)も半日は仕事をしていましたし、ケニアに来てからは「毎日が仕事であって、毎日がオフである」ような感覚です。 実際、配属先の農業事務所には、行っても行かなくても咎められることはありません。

ただ、たとえ何も具体的な作業をしていなくても、事務所に居るだけでも喜ばれます。たまにフラッとやってくる、やる気のある農家さんと知り合いになれるチャンスも転がっているため、家に引きこもってPC作業をするよりは、ずっと価値がある時間の使い方だと思っています。

マッシュルーム始動と「ケニア流」の潤滑油

今日から、本格的に「マッシュルーム・プロジェクト」が始動しました。

まずはキノコのベッドとなる培地の材料集めからです。 私の任地(マトゥング周辺。隣町がムミアス)はケニア国内でも砂糖の一大生産地なので、製糖後に出る「サトウキビの搾りかす」をメインの材料に使おうと考えています。時期によってはメイズ(トウモロコシ)の芯なども混ぜる予定です。

しかし、これが意外に手に入らない。 近隣の農家からは目ぼしい量が確保できず、思い切って巨大な砂糖工場から直接仕入れようと試みました。 農家や事務所の同僚と一緒に各方面に電話をかけまくり、工場内に入るルートを探ります。昼過ぎになってようやくツテが見つかり、明日以降に交渉を行うことになりました。

「準備が整うまでには今週いっぱいかかりそうだね。スケジュールを後ろにずらそう」と同僚は言います。 「そんな計画通りに行くわけないよな」とケニアの洗礼に諦観しつつも、 「培地集めは待つとして、栽培用小屋作りは同時並行で進められるよね?」 と話すと、彼らはすんなり受け入れてくれ、明日から大工を手配して建築をスタートすることになりました。

この一連の動きの中で、交渉も手配も、実働のほとんどは同僚がやってくれています。 私がやっていることといえば、有識者等と農家・同僚を「繋ぐ」こと。そして「お金を払う」ことくらいです。

同僚曰く、ケニアでは色々な場面でお金を要求されます。特に外国人の場合はお金を持っていると思われているため、それは顕著です。 でも、裏を返せば「お金さえ少し払えば、全てがスムーズに動く。それがケニア流だ」と同僚は笑います。

「お金を出すべきではない」という支援のセオリーもありますが、お金を渋ってプロジェクト全体が鈍化するくらいなら、数十円から数百円の気持ち程度のお金を潤滑油にして、気持ちよく人を動かした方が遥かに合理的だと感じています。実際、そのおかげで彼らは非常に前向きに動いてくれています。

2年限定の「黒子」に徹する覚悟

同僚や農家が自発的に動いてくれるのは、本当にありがたいことです。

ここでの主人公は、どこまでいっても彼らケニア人に他なりません。 私は所詮、2年間という期限付きの部外者です。ローカルな話を通すのも、ケニア人同士の方が圧倒的に早いし、何より私が帰国した後の「持続性」を考えれば、彼らが主導権を握るべきです。

私は「黒子」でいいんだと思います。
でも、ただ見守るだけではありません。黒子にしかできない役割が確実にあります。
例えば、

  • サブカウンティの外の人や専門家とコネクションを作ること
  • 彼らがやったことのない新しい手法に挑戦するきっかけを作ること
  • 失敗した時の金銭的・精神的リスクを背負うこと
  • アイデアを形にして残すこと

お金を払い、リスクを背負い、人と人を繋ぎ、アイデアを残す。
この泥臭い立ち回りこそが、今の私の役割だと腑に落ちています。

マクロな投資と、草の根のジレンマ

とはいえ、「コミュニティ開発隊員」という職種は本当に難しいと日々悩みます。

今日、ケニア政府が4,500万シリング(約4,500万円)をケニア西部の中枢都市キシに投資し、大学建設を中心としたインフラ整備を行うというニュースを見ました。その規模の金額で、街の開発が進むのです。(来年の選挙に向けて、各政治家がこういった類の話を積極的に発表しています。)

正直、私たち協力隊員に国から出ている経費を全部集めて、こういうインフラ投資に回した方が、ケニアに対するインパクトはずっと大きいでしょう。

マクロな資金投下と、ミクロな草の根支援。 草の根の役割とは一体何なのか。隊員に求められている本当の価値とは何なのか。 明確な答えは出ませんが、日々自問自答しながら活動を進めていくしかありません。

明日なき世界で、今日を生きる

最後に、少しだけホッとするニュースがありました。 原油の価格高騰や供給制限に伴う「ナイロビへの一時退避の検討」は、一旦保留になったそうです。とりあえずは一安心です。

しかし、アメリカ・イラン間での協議は決裂したと報じられており、今後の世界情勢の見通しは全く立っていません。 明日から突然、活動ができなくなるかもしれない。日本に帰らなければならなくなるかもしれない。

そういう危機感が、常に背中合わせにあります。 だからこそ、1日1日を大切に、今日できることを全力でやっていこうと思います。

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