【ケニア派遣123日目】「ゴミ」とは何か。重油高騰に悩む日本と、農業廃棄物でキノコを育てるケニア

カカメガでの活動
カカメガでの活動

休日の手洗い洗濯と、豪快な水掃除

今日は休日です。午前中は、半日かけて家事をこなしました。

まずは、1週間分の洋服を一生懸命に手で洗います。 最近は少し洗濯の量が減りました。下着は毎日替えますが、ズボンやシャツは毎日は替えないからです。 「水にもリミットがあるから」というもっともらしい言い訳にして、同じ服を着回しています。(臭くはないはずです。たぶん)。

洗濯の後は、大掃除。ケニア流の、モップと水をたっぷり使った豪快な床掃除です。最低でも週に1回は掃除をしているので比較的綺麗に保ててはいますが、それでも小さな虫はどこからともなく入ってくるので、念入りに磨き上げます。

思えば、前職時の自分のデスクは毎朝出勤時に拭き掃除をしていましたし、派遣前訓練中も机の周りはほぼ毎日掃除していました。 ものが整理され、空間が綺麗になると、不思議と頭の中までスッキリと整理されたような気がします。(その分、ものをすぐに捨ててしまうのが私の悪い癖かもしれませんが……)。

日本の焼却炉危機と、ケニアの「合理的」な循環

家事をしながら耳から日本のニュースを聞いていると、気になるトピックがありました。

「重油価格が1リットルあたり30円値上げされ、ゴミ焼却場が悲鳴を上げている」というニュースです。年間数百万単位のコストアップになる上に、そもそも燃料の供給制限がかかり、このままでは生ゴミを含めた全てのゴミを焼却しきれなくなる恐れがあるとのこと。特に水分を多く含む生ゴミの焼却問題は深刻なようです。

一方で、私が今いるケニアでは、生ゴミや家畜の糞を「コンポスト(堆肥)」にする工夫があちこちで当たり前に行われています。つまり、焼却問題どころか、むしろそれらが価値に変換されているケースが多く見られます。

なぜか? それは彼らが「SDGs」や「環境保護」といった綺麗事を掲げているからではありません。単に化学肥料が高く、牛糞や生ゴミなら原価がかからないからです。 中には、牛糞からバイオガスを発生させてキッチンの火を賄っている農家もいます。本来なら廃棄しなければならないものを「価値」に変える。それが彼らにとって最も合理的だという判断の末の行動なのです。

ミミズを使ったコンポスト。

「ゴミ」とは誰が決めたのか?

もちろん、東京のような都市部では、生ゴミが出る場所とそれを処理・活用する畑との距離が遠く、コンポストの仕組みを社会に導入するのがあらゆる面で容易ではないことは理解できます。

それでも、今回の日本の焼却炉危機は、そうした「循環」を現実的な解決策として社会に受け入れる、良い機会になるのではないでしょうか。 例えば、佐賀県の「佐賀グリーンアグリバレー」という場所では、清掃工場から出る二酸化炭素を回収し、農業用ハウスで植物の光合成に活用するという、二酸化炭素を「価値」に変える取り組みが始まっています。

GXの実現に向けて | 佐賀市公式ホームページ
GXの実現に向けての紹介

そもそも、「ゴミ」って何でしょうか。

二酸化炭素は地球温暖化の元凶のように言われますが、植物にとっては成長に不可欠な命の源です。 結局のところ、ゴミとは「人の恣意的な判断によって『要らない』とレッテルを貼られたもの」にすぎません。 誰かにとってのゴミは、また他の誰かにとっては喉から手が出るほど価値のあるものかもしれないのです。

ケニアの街を歩けば、それがよく分かります。使い終わった酒瓶はマッシュルームの種菌を入れる容器になり、油の空き容器は苗を育てるポットになります。ペットボトルなんて、切ったり繋いだりして何にでも生まれ変わります。 彼らはそれに価値を見出し、拾い集め、再利用している。一度使い終わったそれらは決して「ゴミ」ではないのです。

油の入れ物に、いちごを植える。

課題を乗り越えるのが「ビジネスアイデア」

私が今、現地の農家と進めている「マッシュルーム栽培」のプロジェクトも、まさにこの概念の上に成り立っています。

キノコを育てるための「菌床」には、トウモロコシの芯、バナナの葉っぱ、サトウキビの搾りかすなど、そのままでは捨てられてしまう農業廃棄物を使います。(日本でも、コーヒーの搾りカスなどが使われている例があります)。 そして、キノコを収穫し終えた後の菌床は、今度は栄養満点の「堆肥」として畑に撒かれ、次の作物を育てる土になります。まさに循環です。

瓶の中に詰められている、種菌。

もしかしたら絶対的な「ゴミ」なんて、この世には存在しないのかもしれません。それは、本当に多大なコストと燃料をかけて燃やすべきものなのか? もっと別の使い道はないか? 価値に変換できないか?

もちろん、都市部でコンポストをやれば「臭くなる」かもしれない。「自分で作ったところで売れるほどの値段にはならず、コストに見合わない」という採算の壁もあるでしょう。色々な課題が山積みになるのは当然です。

でも、そういう一見不可能に見える課題をどう乗り越えるか。それを考えることこそが、「ビジネスアイデア」というものではないでしょうか。

SDGsや環境保護といった「綺麗事」で終わらせるのではなく、誰もが欲しがる「便益」があり、経済的にも「合理的」な仕組みに落とし込む。いわゆるソーシャルビジネスなんて特別な言葉を使わなくても、それが本来の「ビジネス」そのものだと思います。

綺麗になった部屋で、ケニアの農業残渣と日本の重油高騰の間を、思考の中でふりこのように行き来した良い1日でした。

コーンガーデン。立体的に土地を活用することで、土地を有効的に使う方法。水捌けもいい。
普通はシートで仕切りを作られるが、ペットボトルでも作れるらしい。万能ペットボトル。

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