800エーカーの農業テーマパーク
今日はカカメガ郡の「ブクラ(Bukura)」という場所にある、アグリカルチャートレーニングセンター(通称:ブクラATC)で開催された「フィールドデイ」に参加してきました。

フィールドデイとは、地元の農家や農業関連のNGO、行政の農業部門関係者など、多種多様なステークホルダーが一堂に会する一大イベントです。 今回初めてATCを訪れましたが、とにかく広い。 敷地面積は約800エーカー(約320ヘクタール、東京ドーム約70個分)あるらしく、農園の端が全く見えません。
会場はまさに「農業のテーマパーク」でした。 NGOがブースを出展し、広大なデモ圃場ではコンポスト、灌漑システム、キッチンガーデンなど、あらゆる農法が実演・解説されていました。栄養改善を推進するために大豆で作ったチャパティの試食や、先進的な農機具の紹介もあり、歩いているだけで知的好奇心が刺激されます。

エリート雑草「ネピアグラス」と日本のレベル
農場の中で特に面白かったのが「ネピアグラス」です。 これは家畜用の飼料として育てられる草なのですが、一見するとただの背の高い「雑草」にしか見えません。
しかし、彼らはこれを極めて科学的に扱っていました。 各国の名前が付けられた様々な品種があり、「いくつかの品種をミックスして発酵させると、非常に良質な飼料になる」のだとか。ただの草のようにしか見えませんでしたが、実は株間まで緻密に計算して育てられており興味深かったです。

また、話でしか聞けませんでしたが、隣接するブクラカレッジ(大学)の設備にも驚かされました。 牛舎は非常に綺麗に整備されており、自動搾乳機まで完備されています。さらに工場と連携してヨーグルトの製造まで行っており、完全な「マニュファクチュア」が成立していました。
もちろん、これらは小規模農家が明日からすぐに真似できるような規模や設備ではありません。しかし、「ケニアでもトップ層が本気でやれば、日本の農業レベルと全く遜色ない」という事実を知れたのは、大きな収穫でした。

熱狂する農家と、次回の野望
広大なデモ圃場の中で、自分のプロジェクトに直結するヒントも見つけました。あらゆる場所で、イチゴが育てられていたのですが、中でも、「キッチンガーデン(コーンガーデンという、土を塔のように積んだ省スペース農法)」で育てられているイチゴが、とても元気に育っていました。この栽培方法は私のトライアルにも採用しようと思います。

そして、このイベントで最も印象的だったのは、「参加している人々の熱量」です。
集まった農家の人たちは、説明員に対してすごく前のめりに質問をぶつけていました。農業に対して真剣で、情報を自らキャッチアップしようとする意欲の高い人ばかりです。中には、私の任地から来ている顔見知りの農家さんもいました。
こういう場所での出会いは、絶対に大切にしなければなりません。 意識の高い農家が一堂に会するこのフィールドデイは、新しいプロジェクトのパートナーを見つけるための最高のターゲティングの場です。次回開催される時は、ただ見学するだけでなく、自分自身が何か出展する側に回りたいです。

命をいただくことと、「見えすぎる」夜
帰り道、少し綺麗なレストランに立ち寄り、遅めの昼ごはんを食べました。
久しぶりに「豚肉」を注文しました。ケニアでは豚肉は希少で、最も高価なお肉の一つです。
待つこと約1時間(ケニアのレストランでは注文してから1時間待ちはご愛嬌です)、ようやく出てきた豚肉は最高に美味しかったです。ただ、昼間の農園でたくさんの可愛い豚たちを見たばかりだったので、なんとも言えない複雑な気持ちになりました。 「さっきまであんなに可愛かったのにな……」と思いながら、お肉を噛み締める。 農業の現場に関わるようになり、作物が育つ苦労や動物たちの姿を間近で見ることで、命をいただき、食卓に並ぶことへの「感謝の気持ち」が以前よりも遥かに強くなっているのを感じます。

夜、家に到着。明日は朝が早いので、サクッと準備をしてすぐに寝ようと思っていました。
しかし、今日は久しぶりに夜まで電気がついていました。 すると、いつもは停電の暗闇に隠れて見えなかった「部屋の隅のゴミ」や「ホコリ」が、明るい光の下でくっきりと見えてしまいました。 私は、それを見逃すことができず、ついつい掃除を開始してしまいました。
「ああ、電気なんてつけなければよかったな……」 見えすぎてしまうことへの後悔を少しだけ感じつつも、やはりスイッチ一つで部屋が明るくなることのありがたさを噛み締めながら、箒でゴミを集めました。



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