【ケニア派遣112日目】「何のためにここにいるのか」。殴打の音と、社会人3年目の焦燥感

カカメガでの活動
カカメガでの活動

生き物相手の難しさと、小さな兆し

午前中は、イチゴのパートナー農家の元へ経過観察に行きました。

畑を見てみると、元気のない株がちらほらと見受けられます。 水不足なのか、それとも栄養不足なのか。農家さんと話し合い、その場でできる限りの処置を施しました。 相手は工業製品ではなく、生き物です。マニュアル通りにはいかないし、一筋縄ではいきません。改めて農業の難しさを痛感します。 どうか元気になってほしいと祈るばかりです。

それでも、悪いことばかりではありませんでした。 一部の株からは「ランナー(蔓)」が伸びており、しっかりと増殖しているものもありました。 小さな、けれど確かな兆し。これを見逃さず、引き続き慎重に経過観察を続けていきます。

殴打の音と、笑う野次馬

帰り道、同僚と一緒に入ったお店で、思わず背筋が凍るような光景に出くわしました。

一人の男性が、めちゃくちゃに殴られていたのです。

「バチん! バチん!」という、肉体を激しく打つ鈍い音が店内に響いていました。 理由を聞くと、彼が酔っ払って大騒ぎし、周りの客に迷惑をかけていたからとのこと。確かに彼はうるさかったし、店員も困り果てていましたが、それにしても「そこまで殴らなくても……」と思うほどの凄惨な回数でした。殴られていた男は、泣きそうな顔をしていました。

さらに私を怖がらせたのは、集まった野次馬たちが、それを見て笑っていたことです。

同僚からは、「一人でこういう現場に居合わせたら、すぐにその場を離れること」と強く忠告されました。 日本ではめったに見ない暴力の距離の近さと、それを消費する空気感。怖かったです。

圧倒的な数と「ばら撒き」への誘惑

現在、ケニアの学校は長期休暇に入っており、街には子どもたちが溢れかえっています。洗濯物を干している時も、フィールドへ行き来する時も、とにかく見られるし、声をかけられます。

中には、明らかに舐めた態度で「ちんちょん」とアジア人をからかってくる子どももいます。 そういう輩に対しては、完全に無視するか、何も言わずにただ微笑むだけにするというスルーしています。

しかし、そんな無数の子どもたちを眺めていると、ふと強烈な虚無感に襲われる瞬間があります。

「自分って、誰かのためになっているのか?」
「何のために、ここにきたんだっけ?」

街には、とんでもない数の人々がいます。 一方で、私がここで生活し、話をし、一緒に活動している農家は、ほんの数人、ごく一部のコミュニティに過ぎません。

これでいいのだろうか。 街を歩けば、色々な人が「金をくれ」と言ってきます。 この2年間で国から自分に投資されているお金を、いっそ広場で全部ばら撒いてしまった方が、よっぽど多くの人が喜ぶし、直接的な「支援」になるんじゃないか。そんな極端な思考にまで陥りそうになります。

全員を救うのは無理でも、少しずつ輪を広げていかなければ。
一人、二人と話しているだけでは、話にならない。

社会人3年目の焦り

今日から私は「社会人3年目」になりました。 もはや「新人だから」という言い訳が一切通用しない年次です。 ましてや、この2年間の任期を終えて日本へ帰る頃には、5〜6年目の中堅社員の年次になっています。

何もできないなんて、話にならない。
結果を残さないといけない。 「結果」が具体的に何なのか、明確に言語化できるものでもない。さらに、農業という分野が、成果が出るまでに途方もない時間がかかることは、大前提として理解しています。焦っても作物が早く育つわけではない。

それでも、やっぱり焦る。この焦燥感を消す方法は、ただ一つ。目の前の小さなランナー(兆し)を信じて、泥臭く手を動かし続けることだけでしょう。

社会人3年目、頑張ります。

この15㎡から…

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