【派遣前訓練34日目】15年という時間の重さ。福島で聞いた、声なき声と、生きた声。

東日本大震災の被災の後 二本松訓練所
二本松訓練所青年海外協力隊

忘却に抗うための、旅の始まり

今日は、自主講座「あいべえ相双」のバスツアーで、東日本大震災の被害を受けた浜通りを訪れました。

道中の車内、参加メンバーがそれぞれ語る3.11の経験を聞きながら、改めて思います。
15年という時間は、人の記憶から経験を薄れさせるには、十分すぎる長さなのだと。

そんなことを考えながら、車窓の遠くに見える原子力発電所を横目に、最初の目的地へと向かいました。

人智を超えたものへの、責任と反省

東京電力廃炉資料館。

そこで感じたのは、エネルギーを生み出すことの責任の重さと、人智を超えた存在を扱うことへの、「反省」と「謝罪」の姿勢でした。

当時、再三にわたって使われた「想定外」という言葉。しかし、自然の猛威が人の想定を超えることは、ある意味で当たり前です。その言葉を盾にすることは、備えが十分でなかったという「人災」の側面から目を逸らすことにも繋がりかねない。

人智を超えた技術を扱うことの、本当の責任とは何なのか。エネルギーを享受して生活している私自身も、この問いを決して「他人事」にしてはいけないと、改めて強く感じました。

当時の様子を再現した映像などが上映されています。
東京電力廃炉資料館|廃炉資料館|東京電力ホールディングス株式会社
東京電力HD「廃炉資料館」のページ。東京電力ホールディングス株式会社は、東京電力グループの持株会社です。福島第一原子力発電所事故の「責任」を果たし、エネルギー産業の新しい「競争」の時代を勝ち抜いていくために、大きな変革を実行してまいります。

時が止まった教室で、考える「復興」

次に訪れた、請戸小学校。

「街は復活しないでしょうな。」

解説してくださった方のその一言が、ずっしりとのしかかりました。

校舎の周りには何もなく、ただ更地が広がっていました。
人の気配はなく、この街に人々が戻ってくることは、もうないのかもしれません。

教室の時計の針は、あの日のままで止まり、体育館の壁には卒業式の準備がされたまま。算数の教科書は「比例」のページが開かれていました。 ここで時間が止まってしまった子供たちがいた。その事実が、声なき声となって胸に突き刺さります。

復興とは、一体何なのでしょうか。ただ街が綺麗になることではない。災害は、揺れが、波が、雨が止んだ瞬間に終わりではないのだと、静かな教室は教えてくれました。

しかし、この止まった針は、ただ放置されているわけではありません。この悲劇を、歴史を、風化させないために、あえてこの時間を「停めて」くれている人々がいます。その意志に、未来への責任を感じずにはいられませんでした。

請戸小学校の様子
時間が停まった体育館
【公式】震災遺構・浪江町立請戸小学校
浪江町立請戸小学校は、福島県内唯一の震災遺構であり、「震災を風化させず、多くの人に震災を自分事として捉えて欲しい」との思いから、被害を受けた校舎を保存し、公開しています。また、請戸小は、生徒と教職員が全員無事に避難できた奇跡の小学校としても...

数字の裏にある、一人一人の人生

また、被災者の方から、直接お話を伺う機会もありました。

消防団や地元の人々の助け合い、熊本から駆けつけたボランティアの神主さん、社殿を寄贈してくれた球磨工業高校の生徒たち。極限状態の中で、いかに「人との繋がり」が命綱になるか。

そして、涙ながらに語られる、壮絶な体験。
誰もが「自分だけは大丈夫」と思っていたこと。後から思えば、なぜあんな行動を、と思うことの数々。痛みを感じなければ、本当の恐ろしさは分からない。でも、悲劇が起きてからでは遅い。だからこそ、こうして話を聞くことに、計り知れない価値があるのだと感じます。

文字で読むのとは全く違う、感情の温度に触れた時、「ああ、この経験を、そしてこの善意を、決して無駄にしてはいけない」と、強く、心に誓いました。

ここには当時14mの津波が来ました。当然、神社は流されましたが、被災後、さまざまな方の助力で復興を果たしました。
しかし、周りには人気はほとんどありませんでした。
山田神社 | 一般社団法人 南相馬市かしま観光協会
祭神は農業の神様である大年神(おおとしのかみ)です。現在の相馬市柚木・蒲庭と南相馬市鹿島区北屋形・北海老一帯にあった八沢浦は、明治39年(1905)から昭和3年(1928)にかけて干拓され、広大な農地となりました。

「当たり前」の尊さ

道が通れなかった偶然、避難所に行けなかった偶然。ほんの少しの偶然が、生死を分けたという話も伺いました。私たちは、無数の「たまたま」の上に生かされている。そして、「普通」の日常がいかに尊いものか。この幸せを、もっと噛み締めて生きなければならない。

この貴重な学びの機会を、約1ヶ月も前から準備してくださった企画メンバーの方々には、感謝しかありません。本当に、ありがとうございました。

この学びを、これからの協力隊活動で、そしてその先の人生で、必ず活かしていきます。

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