熊本農業大学校の皆さんが、ここ戸馳島まで授業を受けに来てくれました。その講義に、私も同席させていただきました。
参加者の大半は、私と同世代で、これから新規就農を目指す若者たち。授業中は少し大人しい印象でしたが、それでも、同世代にこれだけ農業を志す仲間がいるのだと、その存在を肌で感じられたことは、大きな喜びでした。熊本が、農業大学校や農業経営塾といった、学びの機会に非常に力を入れていることの表れでもあります。
「災害」ではなく「草刈り」へ。鳥獣害対策という意識変革
今日の授業で、私の心に最も深く刻まれたのは、「鳥獣害対策は、農業の一部にならないといかん」という言葉でした。
多くの農家にとって、獣害は、ある日突然やってくる「災害」のような認識です。しかし、本当はそうではない。それは一度きりのイベントではなく、草刈りや水やりと同じように、農業を続ける限り、恒常的に向き合い続けなければならない「日常業務」なのです。
この「意識変革」を促すことこそ、イノPのような組織が、講義を続ける大きな意味なのでしょう。かつては「農業もせずに猪ばかり追いかけて」と揶揄されることもあったというこの活動。しかし、情熱大陸への出演などを通してその重要性が認知され、今ではこうして未来の農業を担う若者たちが、真剣に耳を傾けている。この変化は、本当に価値あることだと思います。

子どものような大人と、人生の楽しみ方
夕方、稲葉さんの「趣味部屋」を見せていただく機会がありました。そこは、まるで秘密基地のように、彼の「好き」が詰まった空間。その部屋で楽しそうに語る稲葉さんは、まさに「子どものような大人」。かつて自分が、漠然と「こうなりたい」と夢見ていた大人の姿が、そこにありました。東京の友人たちにも見せたい、と心から思います。
料理と、人に「伝える」ということ
夜は料理を。1ヶ月半のおかげで、心なしか腕が上がってきた気がします。そして最近、料理において最も重要なことの一つは、実は「片付け」なのではないかと感じています。作りながら、いかに効率よく片付け、常にクリーンで広い作業スペースを確保するか。
これもまた、やってみないと分からない、大切な学びです。
その後は、週に一度のマーケティング勉強会。今日のテーマは「広告」だったので、つい専門的な話になってしまいましたが、これまでの回で少しずつ共通言語を築いてきたおかげか、なんとか説明しきれたように思います。人に「伝える」という行為は、自分自身の理解度を測る、最高の物差しになりますね。そして、この経験は、日中に見た光景の解像度を、さらに上げてくれました。
あれだけ多くの学生を前に、専門的な内容を、分かりやすく、面白く伝える。今日の稲葉さんの講義が、どれほど高度な技術の上に成り立っていたのかを、改めて痛感しました。本当に、すごい。
農業大学校での講義、稲葉さんとの対話、そして同居人への勉強会。今日は一日を通して、「伝える」ことの難しさと重要性について、深く考えさせられた気がします。

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