帰りの飛行機を予約しました。ついに、この戸馳島での生活の終わりが、くっきりと輪郭を帯びて見えてきてしまいました。
今日は、その名残惜しさを振り払うかのように、空は抜けるような、真夏の青空です。

答え合わせに1年かかる、農業のPDCAサイクル
午前中は、ブルーベリーのアクアフォーム(土を代替するスポンジ状の素材)をポットに詰める作業と、剪定の続き。ここのブルーベリー栽培は、まだ始まって2年目。まさに試行錯誤の連続です。
ビジネスの世界では、PDCAサイクルをいかに速く回すかが重視されます。しかし、農業という「遅い時間」が流れる世界では、そのサイクルは最低でも1年単位。一つの施策の結果が分かるのは、次の年の収穫期です。その長い期間の中には、天候や病害虫など、コントロール不可能な外部要因が無数に介在し、何が本当の成功・失敗要因だったのかを特定することを、極めて困難にします。
その中で、観葉植物の今後の展開についての会話にも少し参加させていただきました。観葉植物の世界は、顧客が非常に詳しい。だからこそ、生半可な知識では太刀打ちできず、参入が難しいのだそうです。これもまた、長い時間をかけた知識と経験の蓄積が問われる世界なのだと感じました。
ドライフルーツ作りと、「洞窟温泉」という冒険
就業後、私は新しい「実験」を始めました。食品乾燥機を使った、ドライフルーツ作りです。
例えば、房から落ちてしまった葡萄など、味は良いのに出荷できない果物が、三角エリアには沢山あると聞きます。それを何とか活かせないか、という考えもありますが、何より「ただ、作ってみたいから」というのが一番の動機です。
果物が乾くのを待つ間、上天草にある洞窟温泉((「湯楽亭」))へ。

これが、想像の100倍良かった。ディズニーランドのトムソーヤ島も顔負けの、本物の洞窟の中に温泉があるのです。その「速い時間」が流れるような冒険感に、童心に帰ったかのように興奮しました。温泉も素晴らしく、心なしか身体がとても軽くなった気がします。
上天草に来たら、一番におすすめしたいスポットかもしれません。
日帰り入浴は宿泊客が多いと利用できないこともあるので、事前連絡が確実です。そして、絶対にこの体験をしたい、という方は、宿泊が一番良い選択でしょう。横目で見たお料理も驚くほど豪華で美味しそうだったので、その価値は十分にあるはずです。
終わりが見えてきたからこそ、一日一日の密度が濃くなっていく。そんなことを感じた一日でした。

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