【ケニア派遣92日目】風化する震災と、増幅する戦争の記憶。キミリリ市場のカオスを歩く

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

風化する災害の記憶と、増幅する戦争の過去

昨日、3月11日は東日本大震災から15年の節目でした。

15年前、テレビ画面に映し出された津波の映像。何が起きているのかよく分からず、この世のものとは思えない光景にただ言葉を失ったことを覚えています。 昨年、福島を訪れた際、当時の記憶を涙ぐみながら語ってくださった方の顔が、今も鮮明に脳裏に焼き付いています。

自然災害がもたらした悲劇の記憶は、残酷なことに、時間の経過とともに薄れ、忘れ去られていく側面があります。だからこそ、私たちはそれを意識的に受け継ぎ、未来への教訓として繋いでいかなければなりません。

しかし一方で、時間と共に薄れるどころか、「増幅していく過去」もあります。 それが「恨み」や「感情」に根ざした人災、すなわち戦争です。現在の中東・イラン周辺で起きている紛争の連鎖は、まさにその決して消えない憎悪の記憶が生み出しているものだと思います。

今、日本でもガソリン価格の高騰が話題になっていますが、遠く離れたここケニアのニュースでもその事態が報じられていました。ニュースではこれを、「アメリカの戦争ではなく、トランプの戦争だ」と表現していました。

自然災害の「忘れてはならない記憶」と、戦争による「断ち切るべき憎悪の過去」。 日本から遠く離れたアフリカの地で、世界が複雑に、そして残酷に絡み合っている事実を肌で感じた朝でした。

キミリリ市場:圧倒的な情報量とカオス

さて、今日は大きなマーケットがあると聞いたブンゴマ・カウンティの「キミリリ」という街へ向かいました。

まずはブンゴマのタウンへ行き、バスを乗り換えます。 「キミリリ」と伝えて乗ったはずなのに、バスはなんだか違う方向へ進んでいきます。 「……これ、キミニニ(Kiminini)に向かってないか?」 嫌な予感がして確認しましたが、どうやらあっているとのこと。途中でバスを乗り換えて、目的地へ。少し遠回りになりましたが、なんとか目的地に到着しました。

キミリリのマーケットは、想像を絶する巨大さとカオスでした。

とにかく、めちゃくちゃウルサイ。あちこちのラジオから大音量で流れる音と、それに負けじと大声で客寄せをし続けるおばちゃんたち。 そして私を見るなり、脊髄反射のように飛ばされる、「チン!」「チンチン!」「チンチョン!」と言ったたくさんの声。

情報量が多すぎて疲れますが、歩いているだけで面白い。任地付近ではあまり見ない、とても大きなビーツ、牛に舐めさせる塩、長ネギなどもありました。もちろん、基本はトマト・玉ねぎ・キャベツですが、それでもマンゴーが少なかったりと、微細な地域差を感じます。値段は他の市場と大きくは変わりませんでした。

水から精製したナチュラル塩だと言っていました。

家畜のマーケットもダイナミックです。 自転車の後ろの小さなカゴに押し込まれた鶏、そしてまるで闘牛場のような巨大な広場にひしめき合う牛とヤギ。命の売買が、強烈なエネルギーとともに交わされていました。

古着(ミトゥンバ)の山と産業のジレンマ

しかし、このマーケットのメインエリアを占拠していたのは「洋服」でした。 信じられないほど大量の、そして激安の古着(ミトゥンバ)の山。 これだけ安価な古着が世界中から流入してくる現状を目の当たりにすると、「これじゃあケニア国内の洋服製造業は絶対に育たないな」と、途上国支援の複雑なジレンマを感じずにはいられません。

ミトゥンバ (衣類) - Wikipedia

スワヒリ語が変える関係性

今日は市場を歩きながら、意図的にずっとスワヒリ語で話しかけるように頑張りました。

すると、反応が劇的に変わります。 「どこでスワヒリ語を勉強したんだ!」と嬉しそうに話しかけてくれる人が増え、最初は「チンチョン」と揶揄ってきた人たちも、スワヒリ語で切り返すと割と良くしてくれます。 やはり、現地の言葉は最強のコミュニケーションツールです。

Bataの公認ディーラー?FCみたいな感じで地方には、公認ディーラーがあるらしい。

回り道の価値と、日本人の効率

帰り道、マタツの中では疲労で意識が飛んでいました。
歩き回ると、大した成果を出していなくても、途方もない疲労が溜まります。

街からマーケットまでの道。
歩行者は基本、左側通行みたいな人の流れができていた。

まだ自分のコアとなる活動がカチッと固まったわけではないので、今はある程度「無駄」に見えることでも、足を動かさなければいけない時期だと思っています。 そういう回り道にしか咲いていない花がある。それはこれまでの人生でも実感してきたことです。

ただ、せっかく日本人としてここに来たのだから、少しずつ「効率(レバレッジの効かせ方)」というものも現場に落とし込んでいきたい。泥臭さとスマートさのバランスを探っていきます。

この辺は小さめのバスが多い。

スーパーの壁と最高の日本食

ブンゴマのスーパーに立ち寄り、青果担当にローカルサプライ(直接卸し)の提案をしてみましたが、きっぱりと断られました。

「ナイロビの本部で審査しているから、そっちに話を通せ」とのこと。 アジア系の客も多くチャンスはある売り場なだけに、悔しい。今度、しれっと別の人に話しかけてみようかとも企んでいますが、壁は厚そうです。

しかし、収穫もありました。 周辺には1泊1万円を超えるような高級ホテルが何軒かあり、お金を持った層が集まる気配があります。来週改めて訪れ、飛び込みでホテルのオーナーに営業をかけてみるつもりです。

夜、疲れ果てて帰宅し、市場で買った貴重な長ネギを使って自炊をしました。 メニューは、ポテトサラダ、ネギ塩ダレ、そしてネギ味噌。

一口食べて、思わずニヤニヤしてしまいました。うますぎる。完全に日本の味です。
「我ながら天才かもしれない」

アフリカの片隅で日本食を頬張りながら、明日への活力をフルチャージした夜でした。

胡椒入れれば入れるだけ美味しい。

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