Googleマップを捨てて、足で稼ぐ
今日は朝から、任地マトゥングの最寄りの大きめの街・ムミアスへ。 現在立ち上げ準備中の「マッシュルーム・プロジェクト」の調査(販路開拓)を行うためです。
事前にGoogleマップでピンを立てていたレストランやホテル、スーパーをひたすら歩いて回り、飛び込みで営業をかけました。まずはオーナーやマネージャーを探し出す。そして自己紹介をし、自分がやっていること、これからやりたいことを熱く語る。相手の現状やニーズをヒアリングし、マッシュルームを卸せる可能性を探る。
結果として、計11件のレストランを回りました。
歩いてみて分かったのは、「Googleマップの情報だけでは何も分からない」という当たり前の事実です。 ピンが立っている場所に店がなかったり、 少し奥まった場所にあるのにめちゃくちゃ広くて綺麗なレストランがあったり、「オープンしたばかりでこれから拡大していきたい」と意気込む野心的なオーナーに出会えたり。 「この人とは一緒に仕事したいな」と思える相性も、直接顔を合わせなければ絶対に分かりません。
現時点ではまだキノコが収穫できていないため、実物のサンプルを見せられず、具体的な価格交渉や本格的な検討までは進みませんでした。それでも、プロジェクトが本格稼働する前に、現場の空気感とターゲットの顔を知れたことは、とてつもなく大きな収穫です。
1件目の飛び込みはさすがに緊張しましたが、数件こなすうちに度胸がつき、後半は完全に余裕の精神状態になっていました。一人の「営業マン」としてほんの少しだけ成長した気がします。

破格の「野生マッシュルーム」と価格の歪み
街歩きの途中、ローカルマーケットを覗くと、面白いものを発見しました。 現地の人が「ナチュラルマッシュルーム」と呼ぶ、野生のキノコです。
話には聞いていましたが、本当にその辺りに自生しているものを適当に採ってきたような見た目。種類もバラバラで、「これ、毒キノコ混ざってないよね?」と本気で不安になるような雑な売られ方をしていました。

驚愕したのはその価格です。 半乾燥の状態で、袋にパンパン(約400g)に入って、なんと100シリング(約100円)。
【比較】ケニアのキノコ相場 スーパーでの価格は、フレッシュで「250g=約300シリング」、乾燥で「100g=約250シリング」です。 それらと比較すると、このローカルの野生キノコは完全に価格破壊を起こしています。
しかし、店主のおばちゃん曰く、「これでもローカルの客は『高い』と文句を言ってくる」のだそうです。 つまり、私たちが生産した高品質なマッシュルームを、このローカルマーケット(一般庶民)に向けて売ろうとしても、価格競争に巻き込まれて確実に赤字になるということです。
一方で、このナチュラルマッシュルームは「3月〜4月の雨季の短い間」しか採れない限定品であり、供給は極めて不安定です。 裏を返せば、「キノコへの認知度と嗜好度は高く、しかし通年での安定した供給がない」という市場の歪みが存在します。
まだ緻密なコスト計算はしできていませんが、概算でしっかり利益が出そうな単価を提示したところ、今日ヒアリングしたレストランのオーナーたちは悪くない反応でした。良いクオリティと安定した量さえあれば十分に買ってくれそうな感触がありました。
「誰に、どうやって売るか」。 パズルのピースが、少しずつ集まってきました。

姿勢で通じるスワヒリ語
今日一日、ムミアスの街を歩き回る中で、道端の人から声をかけられることも多々ありました。
彼らが話すのは、基本的にスワヒリ語です。
早口だったり訛りがあったりで、正直分からないこともまだまだ多い。
でも、こちらが「一生懸命に理解しようとしている姿勢」を見せると、相手がそれを察し、表情や声のトーンがすっと柔らかくなる瞬間があります。
完璧な言葉を話せなくても、誠実な姿勢だけで心理的な壁は壊せる。 何度も何度もトライして、失敗して、笑われて。そうやって少しずつ話せるようになっていくのだと思います。 間違いなく、ケニアに来てから一番たくさんの人と話した、濃厚な1日でした。

ご褒美のヤギ肉と、家の中の映画館
たくさん歩き、たくさん話して、活動が大きく前進した手応えと引き換えに、体は疲労困憊です。
昼ごはんは、自分へのご褒美として久しぶりに「ニャマチョマ(Nyama Choma:ヤギ肉のグリル)」を食べました。 普通の定食より少し値は張りますが、炭火で香ばしく焼かれたヤギの肉は、旨みが凝縮されていて最高に美味しい。ケニアの肉はヤギが一番好きです。一番脂が少なく、クセも少なくて、さっぱりしている。

そして、JUMIA(ネット通販)で注文していた「プロジェクター」が届いていました。 早速壁に映してみると……これは最高だ。 殺風景だった停電しがちな我が家が、一瞬にしてプライベート映画館に変わりました。
最近は、家にいても仕事をするか、ブログを書くか、寝るかしかしていませんでした。でも何度も書いているように、長く走り続けるためには、意図的な「余白」が必要です。 特に土日は、このプロジェクターを活用して、しっかりとリラックスする時間を取ろうと思います。 ヤギの旨みと大画面に映る動画の余韻に浸りながら、心地よい疲労感とともにベッドに入ります。



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