ナンバー11と、縫い合わされたボール
本日は、先輩隊員がヘッドコーチを務める「Bondeni FC」の練習試合に参加させていただきました。
会場である高校に着くと、警備員の方に「お前のナンバー(ポジション)は?」と聞かれました。ケニアではポジションを背番号で表現することが多いのです。なんとなく「11番(左ウイング)かな」と答えると、見事的中。言葉や文化が違っても、サッカーの共通言語は通じるものです。
昨夜は雨が降らなかったのでグラウンドは泥沼ではありませんでしたが、もともとの凸凹はそのまま。 さらに驚いたのは「ボール」です。 ケニアのグラウンド周辺には有刺鉄線やトゲのある植物が多く、正規品でないボールはすぐにパンクしてしまいます。しかし、毎回新しいボールを買う余裕はありません。そのため、街にはパンクを直して皮を縫い合わせる「ボール修理の職人」がいるのです。何度も縫い合わされた跡があるボール。ものを大切に最後まで使い切る精神は素晴らしいですが、「そもそもボールが足りない」という根本的な課題をどうにかできないものかと考えさせられます。

標高2,200mの洗礼と「ノーサイド」の祈り
10時集合でしたが、ユニフォームが届かないなどのゴタゴタがあり、全員が集まって試合が始まったのは11時頃でした。 いつどこへ跳ねるか分からないピッチコンディションの中でも、Bondeni FCの選手たちは共通認識を持って戦術的に動けており、非常に見応えのある良いチームでした。
私は最後の25分間に出場する予定でしたが、なぜか試合時間が延び、結果的に35分間プレーすることに。 ……全く走れませんでした。 1回スプリントしただけで息が上がり、もう戻れない。ドリブルを仕掛けた日には、守備に戻る体力はゼロ。標高2,200mの空気の薄さと、2〜3年のブランクが容赦なく牙を剥きます。何度かチャンスメイクはしたものの、上手くミートできず無得点。不甲斐なさと悔しさでいっぱいです。1〜2ヶ月かけてコンディションを上げ、必ずリベンジしたいと思います。
試合中、相手チームのベンチから「チンチョン」と、アジア人を嘲るような声が飛んできました。 しかし、私が試合中にシャペウを見せると、試合後には彼らから「お前、エンターテイナーだな!」と笑顔で賛辞を贈られました。話してみると決して悪い奴らではなく、プレー一つで壁が壊れるスポーツの力を実感しました。
一番感動したのは、試合後です。 さっきまで削り合っていた両チームがピッチの中央に集まり、一つの大きな円陣を作りました。そして、お互いにフィードバックを行い、最後は全員で祈りを捧げて解散したのです。 この美しき「ノーサイド」の文化。日本サッカーも見習うべきだと思える光景でした。

シロアリ食への拒絶と、ケニアの多様性
帰路へ。
エルドレットから任地マトゥングへ向かうマタツ(乗合バス)の中では、疲労で意識が朦朧としていました。
道中、隣に座ったキクユ人(ケニア最大多数派の部族)の方と食文化の話になりました。 私の任地であるルヤ族の地域では、「クンビクンビ」というシロアリを好んで食べます。その話を彼に振ってみると、「無理無理!あんなの昆虫だろ!?」と全否定されました。 同じケニア人でも、部族や地域が変わればここまで価値観や食文化が違う。ケニアという国が一枚岩ではないことを示す、興味深い会話でした。

無心で作る親子丼
マトゥングの自宅に到着。
3日間家を空けていましたが、帰宅後は「親子丼」を自炊しました。
味は抜群に美味い。見た目は少し微妙ですが。料理をしている時間は、余計なことを考えず「無心」になれます。活動の悩みや異文化のストレスをリセットする、ある種のマインドフルネスの時間として、自炊を楽しんでいます。
一人暮らしの自炊は分量調整が難しく、その上我が家の冷蔵庫はほとんど機能していないため保存も困難です。やりづらさは多々ありますが、この2年間で料理の腕もしっかりと上げていきたいと思います。 濃密なエルドレット遠征、これにて無事完結です。



コメント