NGOとの会議:太陽光ポンプと「プロトコル」
今日は朝から事務所へ行くと、来客が多く活気づいていました。
その中の一つ、太陽光を活用したプロジェクトを展開するNGOの方の来訪に同席させてもらいました。これが、今後の活動の大きなヒントになる有益な時間でした。
訪れたのは「Grimson Kenya」という組織の方。彼らは現在、このマトゥング周辺で、再生可能エネルギー(太陽光)と「環境再生型農業」を組み合わせたプログラムを実施しているそうです。 具体的には、現地の井戸に太陽光で動く水ポンプを設置し、乾季でも灌漑ができるようにするというもの。15の農家グループの中で「デモサイト」を選定し、農家自身にも労働力や管理の「コストシェアリング(負担の分担)」を求めるという、理にかなったモデルでした。
「事務所を通せば、農家は信用する」
彼のプレゼンに対し、事務所のボスはプロジェクト自体を高く評価しつつも、彼らの「進め方(プロトコル)」に対して苦言を呈しました。
「多くのNGOが、カウンティレベルで挨拶を済ませた後、我々サブカウンティの農業事務所を飛ばして直接農家へ行ってしまう。それは間違っている」
と。政府の仕事の進め方として、まずは地区長官を通し、管轄の農業事務所に報告すべき。事務所を通さずに活動すると、スケジュールがバッティングする。 しかし逆に、事前に事務所と連携してくれれば、「我々の権威やネットワークを使って、農家の信頼をすぐに得ることができる(我々が電話一本入れれば、農家はあなたを信用する)」のだと。
日本から来た身としては「行政のプライドや縄張り意識かな」と一瞬思いましたが、よく考えればこれはコミュニティ開発の真理です。 見ず知らずのNGOが突然来るより、顔なじみの農業オフィサーが連れてきた人の方が、村の農家は圧倒的に安心します。行政の「お墨付き」をどう使うか。プロトコルの重要性を肌で学んだ瞬間でした。
予期せぬ「イチゴ・コラボ案」
厳しい指導の後、ボスは一転して協力的になり、有益な助言を出し始めました。
そこで、私にパスが。
「この若者は、ここでイチゴの栽培を推進している。あなたがデモサイトを作るなら、彼と一緒に行って、あなたのポンプで水を汲み、そこで彼のイチゴを育てる合同活動をしてはどうか」
思わぬ形でのコラボ提案! さらにボスは、私が赴任3ヶ月でスワヒリ語を話し、ウガリを食べ、この土地を理解しようとしていることを、NGOの方に賞賛してくれました。 自分が積み上げてきた小さな行動が、こういう「他者からの評価」として還元されるのは、素直にとても嬉しかったで す。

息を吹き返したイチゴと、熱心な農家
会議の後、先日瀕死の状態から応急処置をしたイチゴの苗の進捗を見に、パートナー農家の畑へ向かいました。
結果は……悪くない! 結構息を吹き返していて、新しい葉も出始めていました。本当に嬉しいです。 少し虫に食われている部分や、放し飼いのニワトリに荒らされている箇所もありましたが、それも現地ならではの課題。アドバイスをすると、農家の彼女もすぐに対策を講じようとしてくれました。
彼女は本当に素敵な方で、将来的に畑を拡大しようと考えており、土壌改良にも非常に精通しています。 「どうやって排水させるのか」といった圃場の設計もしっかり行っており、実際に外部からの評価も受けているそうです。この情熱的な農家さんと一緒に、なんとかイチゴを実らせたいと改めて思いました。

硬すぎる鶏肉と、誠実な靴職人
昼ごはんは、友人と一緒に少し綺麗めのローカル食堂で、ウガリと鶏肉を食べました。
が、この鶏肉が信じられないくらい硬い。 友人の話によると、鶏が「歳をとり過ぎている」そうです。確かに年齢を重ねれば可食部位は増えますが、肉はゴムのように硬くなる。食べるための「適齢期」を完全に過ぎた筋骨隆々の鶏だったようです。
二人で両手を使って、全力で肉を裂きます。 「バシッ! バシッ!」 肉から、日本の食卓では絶対に聞いたことのない破壊音が鳴り響きます。 手がベトベトに汚れながら、謎の音を出し、それを笑い合いながら食べる。 もう1回食べたいかと言われると微妙ですが(笑)、最高に楽しい「食のエンターテインメント」でした。

夕方、街の靴修理屋のおじさんに頼んでいた靴を受け取りに行きました。 約束の時間に行くと、靴は完璧に、そして美しく修繕されていました。 とても仕事に真面目で、優しい方でした。 こういう、自分の仕事に一生懸命な「ケニアの職人」に出会うと、心が洗われます。
行政のプライド、農家の熱意、硬すぎる鶏肉、そして職人の誠実さ。
ケニアの多様な顔を、一日にギュッと凝縮して味わった1日でした。



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