【ケニア派遣79日目】牛糞ガスで火を灯す循環型農家。ムミアスで見つけた「投資と多角化」のスケール

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

圧倒的なスケール。「循環・多角化」農家

今日は朝から隣町のムミアスへ。マトゥングの事務所で待っていてもやることがないので、ムミアス事務所の方と一緒に、現地の農家を視察することにしました。

イチゴを育てていると聞いていたのですが、いざ着いてみると、そのスケールと多様性に度肝を抜かれました。

牛、鶏、ヤギ、魚、そして多種多様な葉物野菜。キーホール(鍵穴)型の畑や、土を積み上げた垂直・立体的な畑など、空間を無駄なく使う栽培方法が至る所で実践されています。

さらに驚いたのはインフラへの投資です。畑にはスプリンクラーが完備されており、「野菜の値段が上がる乾季に確実に収穫できるようにしている」とのこと。また、バイオガスの設備もあり、キッチンの火は「牛の糞」から発生させたガスで完全に賄っていました。

コンポスト(堆肥化)からエネルギーのエコシステムまで、完璧な「循環型農業」がそこにはありました。もちろん、スプリンクラーによる灌漑もバイオガスも、初期投資にはかなりの金額がかかるはずです。それをどうやって調達し、拡大してきたのか。今日は従業員の方しかいなかったので、次回ホストの方にお会いして、そのビジネスモデルをじっくり聞きたいと思います。

【メモ】イチゴの苗の調達ルート 彼らのイチゴ栽培はまだトライアル中で、環境整備やランナー(蔓)の取り方など探り探りの部分も見受けられましたが、土と水が良いため全体的な状態は良好でした。 実は、私が先日買った苗の業者は、この農家から苗を仕入れていたことが判明。次回からは、中抜きなしでここから直接買い付けしようと思います。

マッシュルームの勝機と、ターゲット戦略

この農家ではマッシュルームも栽培していました。 イチゴもそうですが、「どうやって売っているのか(販路)」がとても気になります。

聞くところによると、マッシュルームは「インド系(Indian)の人たち」が非常に好むそうです。 ムミアスにはインド系コミュニティが一定数おり、少し足を伸ばしてキスムやエルドレットといった大都市に行けば、さらに多くのインド系住民がいます。 「現地のアフリカ系住民ではなく、購買力のあるインド系住民をターゲットにする」というのは、非常に理にかなったマーケティング戦略です。

後でマトゥングの事務所の人に聞いてみると、「マッシュルームはめっちゃ美味しいし好きだけど、高くて買えない」とのこと。堆肥から自然発生するブラウンマッシュルームを食べることはあっても、意図して栽培している人はいないそうです。先日カカメガのタウンで食べたマッシュルームソースのチキンも絶品でしたし、潜在的な需要は間違いなくあります。栽培の難易度次第ですが、かなり可能性を感じる分野です。

ケニア版JA「協同組合」というロールモデル

ムミアスの同行者から、もう一つ有益な情報を得ました。 ムミアスには「Cooperative society(協同組合)」という組織があるそうです。

日本でいう「JA(農業協同組合)」のようなもので、個々の農家が集まって組合を作り、まとまった供給量を確保することで、カカメガなどのレストランや業者へ「直接卸す」力を持っているとのこと。

ビビッときました。 昨日参加したNGO(Practical Action)のミーティングで、彼らは「女性の出稼ぎを防ぎ、地元で稼ぐ仕組みを作りたい」と語っていました。 この「Cooperative society」の仕組みは、まさに彼らが目指すべきロールモデルになり得ます。 近いうちに案内してもらう約束を取り付けたので、しっかり話を聞いて、横の繋がりを作りたいと思います。

「ブンゴマの方はとても農業が盛んで、マーケットに行くだけでも勉強になるよ」とも教えてもらいました。 3月の目標は「活動拠点を増やす」こと。どこにどんなヒントが落ちているか分かりません。とにかく足を動かして、色々な場所で色々なものを見て吸収しようと決意を新たにしました。

「フライドウガリ」と、巻き込みの成功

帰宅後、マトゥングの事務所へ。週末に改良した「ウガリ煎餅」を持参し、同僚たちに振る舞いました。(彼女たちからは「フライドウガリ」と呼ばれています)。

これが、めちゃくちゃ好評でした! 特に「醤油味」がクリティカルヒット。

すると、ただ美味しいと食べるだけでなく、彼女たちの方からアイデアがポンポン飛び出し始めました。 「キャッサバ粉を混ぜたら、もっと焼きやすいんじゃない?」 「ポリッジ(お粥)を混ぜても風味が出ていいかもね」

そして何より嬉しかったのは、「私たちも作ってみる(試作する)」と言い出したことです。

大量に作って余り、最後は鶏の餌になるか捨てられてしまうウガリ。 それをただの廃棄物ではなく、人間用のスナックとして付加価値をつける「アップサイクル」の取り組み。

これがビジネスとしてスケールするかはまだ分かりません。しかし、昨日悩んでいた「どうやって彼女たちを巻き込むか」という課題に対して、一つ明確な答えが出た気がします。 美味しいものを共に食べ、自発的なアイデアを引き出す。小さなスナックが、大きな一歩を生み出した1日でした。

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