「70日の壁」と出汁の回復力
胃腸の調子が随分と良くなりました。
原因は結局分かりませんが、ひとまず最悪の事態は脱したようです。
同期隊員も無事に全員が任地へ派遣されたようです。ふと気づけば、派遣前訓練を過ごした二本松の「73日間」という期間を、ケニアでの生活が超えようとしています。思い返せば、二本松でも71日目あたりから体調を崩し始めました。 「自分にとって全力疾走できる期間は、およそ70日(約2ヶ月半)なのかもしれない」 そんな自分の限界値、バイオリズムのようなものに気づけたのは大きな収穫です。
昨日はスープしか飲んでいないので、お腹は空っぽでフラフラ。少しずつ胃に食べ物を入れていきます。油はできるだけ使わず、体に優しいものを。そんな時に最高なのは、やはり「出汁」です。 出汁の旨みで煮物を作れば、なんだって美味しくなる。 ケニア料理が嫌いなわけではありませんが、弱った体に沁み渡る日本食は、やはり偉大です。
「知らない」という壁と、2回目の優しさ
午前中は隣町のムミアスへ、加工品のトライアルに使うフルーツなどの買い出しに向かいました。
ムミアスに行けば、基本的に何でも揃います。(ハイビスカス-ローゼルが想像以上に大量に売られていたのには驚きました)。 今ここになくても、お願いをすれば、どこからか持ってきてくれます。
そして、何度も通っているうちに、顔馴染みの人が増えてきました。
1週間くらい買えていなかった育苗ポットも、路上の親切なお兄・お姉さんから無事に購入できました。

一つ、面白い関係性の変化に気づきました。初見ではダル絡みしてくる「ウザい」と感じるボダボダ(バイクタクシー)の運転手も、しっかり話をして、私がバイクを使えない理由を説明すると、あっさり理解してくれます。 マタツ(乗合バス)の車掌も、2回目に会うと驚くほど優しい。
ここでは、「知らない」という状態が一番良くない(壁になる)のだと思います。 一度言葉を交わし、顔を覚えられれば、2回目からは警戒が解けて「こっち側の人間」として扱ってくれる。 出会いの回数を重ねるほどに関係が深くなっていくのを、肌で感じています。英語を話せる人が多いムミアスは、私にとってかなり居心地の良い場所になりつつあります。
ボスのプライドと「縄張り」
しかし、順調なことばかりではありません。 明日から毎週金曜日、ムミアスの農業事務所が実施している大規模なマーケット調査に同行する予定でした。 ところが、マトゥング(私の任地)のボスから「ちょっと待て、ちゃんと話してからだ」とストップをかけられてしまいまいました。この前、直接話したけど…
電話の口ぶりから察するに、「うちの隊員が、管轄外(他のサブカウンティ)で活動する」ことに対する、ある種のプライドや縄張り意識のようなものを感じました。 「事務所にいてもやることないのにな……」と喉まで出かかりましたが、そこはグッと堪えます。活動を進める上で、彼らの協力と承認は不可欠。このあたりの「根回し」は、日本以上に慎重にやっていかなければなりません。

停電キッチンでの「フルーツレザー」
帰宅後は、加工品の試作に取り掛かりました。今週試したいアイデアは以下の4つ。
- グースベリー(ほおずき)のマンダジ(揚げパン)
- ウガリ煎餅
- フルーツレザー
- ジャム
今日は、フルーツレザーとジャムを作りました。
【メモ】フルーツレザーとは? ペースト状にした果物を薄く広げ、オーブンや天日で乾燥させたアメリカ発祥のスナック。 砂糖とフルーツだけで作れ、栄養価も高く保存も効くため、市場で余って腐らせてしまう「余剰フルーツ」の有効活用として非常にポテンシャルが高いと考えています。これから試作とテストマーケティングが必要ですが、”甘い”お菓子が大好きなケニア人には十分に刺す余地があると思っています。
懸念は「乾季が終わりつつある(雨季に向かっている)」ため、天日干しがうまくいくかどうかです。干し芋も失敗してしまったことですし…

そして今日最大の壁は、インフラでした。 今日は1日の半分以上が停電。 昼間に受けていたオンラインセミナーは電源が落ちて途切れ、料理中にブレンダーも使えなくなり、暗く狭いキッチンでの不慣れな調理にどっと疲れが出ました。 暗闇は、想像以上に人間のテンションを下げます。
「慣れたけど、慣れないな」
暗闇の中で目を凝らしながら、小さくこぼした72日目の夜です。


コメント