【ケニア派遣70日目】「Leo ni leo(今日は今日だ)」。イチゴの植え付けと、ケニア流「今を生きる」哲学

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JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

お腹の音と、1週間ぶりの再会

お腹が痛い。毎日症状が変わるお腹の不調に加え、今日は一日中、お腹が鳴り止まない状態でした。 AIのアドバイスに従って、食事制限をしながらのスタートです。

事務所に行くと、珍しくオフィサーたちが揃っていました。そして、カウンターパート(CP)とも1週間以上ぶりの再会。 久しぶりに顔を見て、あえて「嬉しい」と感じている自分がいました。やっぱり相棒がいると心強いものです。

瀕死の苗と、正確な畝(うね)

今日はいよいよ、イチゴの植え付け本番。 早速準備に取り掛かりますが、肝心の苗の状態は……正直良くありません。 「買った時(1週間前)は元気だったんだよ」とCPは言いますが、あの劣悪な環境に放置されていれば弱るのは当たり前です。多少、文句を言いたい気持ちをグッと堪え、畑へ向かいます。

畑に着くと、少し驚きました。 畝がほぼ完成していたのですが、ちゃんと凧糸のようなものを使って、一直線に作られていたのです。やる時はちゃんとやる。農家さんの手仕事の正確さに感心しました。

素手、素足で作業している彼女たち。本当に凄すぎる。

オフィサーの深植え、農家の適正植え

いざ植え付け作業。 イチゴは「クラウン(成長点)」で呼吸をしているため、ここを埋めないように浅く植えるのが鉄則です。 農家さんには念を押して伝えたので完璧にやってくれましたが、横を見るとCPがめっちゃ深く植えている……。 指導する立場のオフィサーが一番危なっかしいというパラドックス。これは今後、栽培面積を広げる際には図解マニュアルが必須だなと、新たな課題が見つかりました。

「Leo ni leo」:今日は今日だ

その後の作業はハードワークでした。 サトウキビの枯葉を使ったマルチング(これもCPの方針で後日細かくすることに)、そして日除け、雨除けの屋根作り。

ほぼ死にかけている苗たち。1週間後、ダメなら全部買い直しだ。

穴を掘り、レンガを砕いて敷き詰め、土で固める。
食事もまともに摂れていない体には堪え、熱中症気味になってしまいました。

へばっている私を見て、CPが何度もこう言いました。

“Leo ni leo, asemaye kesho ni mwongo” (今日は今日だ。明日と言う奴は嘘つきだ)

有名な曲のリリックらしいのですが、10回くらい言われました。 「どういうこと?」と聞いても、「Leo ni leo, Today is todayだよ!」と説明になっていない説明(笑)。

「今を楽しめ」「今できることは今やれ」「明日なんて不確実なものを当てにするな」ということかな。この強烈な「現在志向」。
ジャック・ハンマー(漫画『バキ』)の「今日強くなれるなら明日はいらない」にも通じるような、刹那的かつ力強いケニア人の哲学を感じて、妙に納得してしまいました。

本当は定食の前に、屋根は作っておきたかった…けど仕方ない!

300シリングの出費と、プライスレスな収穫

屋根の仕上げを職人(Fundi)に頼む費用などで、300シリングを置いてきました。 「まあ、これで動いてくれるなら安いものか」と思っていたのですが、農家のギブ精神はそれ以上でした。

昼ごはんをご馳走になり、ハイビスカスジュースやマンゴーをいただき、帰りには隣の農家から一人では抱えきれないほどの葉物野菜(クンデ)と巨大カボチャを持たせてくれました。 「自分の作ったものを食べてほしい」「持ってきな!」という農家の心意気。 自分が渡したものより、頂いたものの方が遥かに多い。 彼らの優しさが、疲れた体に沁みます。

ハイビスカスティー。呼ばれ方ははジュースだけど。美味しかったし、とても大好きだと言っていた。

新発見「Soya Yoghurt(大豆ヨーグルト)」

野菜の下処理(クンデは茎が硬いので葉だけむしる)をしていると、近所の人が「Soya Yoghurt」なるものを持ってきてくれました。 原材料は大豆(Soya)のみで作ったヨーグルトだそうです。

味は確かにヨーグルトっぽい。少し重たさと独特のクセはありますが、ヨーグルト好きなケニア人の味覚には合っているのかもしれません。地元のグループが作っているとのこと。
「今度作業工程を見せてあげるね」という言葉(ケニア人の「今度」ほど不確実なものはありませんが……)を信じて、追いかけてみたいと思います。

農家の方は、結構オーガニックとかヘルシーとか気にしているみたい。
お金を使うのかどうかはわからないけど、悩み・ニーズがあるので深掘りできれば、ものを売るときにヒントになるかも。

「乗っかる」という開発アプローチ

今日1日を通して感じたこと。苗の管理や深植えなど、「これで大丈夫か?」とヒヤヒヤする場面もありましたが、彼らは彼らなりに、あるもので工夫して生活を回しています。

「日本から来た私が一から教える」という上からの目線は、改めて良くないと痛感しました。彼らがすでに持っているアイデアや工夫(Soyaヨーグルトやサトウキビマルチなど)を拾い上げ、それに「乗っかる」。 そして、うまく調理して形にする方が、断然早いし、私が帰った後も続く活動になるはずです。

うまい感じに乗っかり、うまい感じに脱線していく。
そんな柔軟な「Leo ni leo」の精神こそが、コミュニティ開発の鍵なのかもしれません。

クンデの葉っぱをむしる作業。ほうれん草の仕分け作業を思い出した。
これ結構時間かかるんだよな。

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