【ケニア派遣66日目】農業オフィサーが苗を枯らす? 瀕死のイチゴ救出と、GPSによる肥料不正対策

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

任地への帰還と、瀕死のイチゴ

今日から、マトゥングでの生活が再開です。
久しぶりにぐっすり眠れました。まだ家具も揃っていませんが、ここが今の私にとっての「我が家」になりつつあるのかもしれません。

事務所に行くと、ボスともう一人のオフィサーだけがいました。 カウンターパート(CP)はいません。今日はいよいよイチゴの植え付け予定日だったのですが……。 連絡すると「今日は別のところにいる。農家も不在だから月曜日にやろう」とのこと。 まあ、ここまでは想定内です。

問題は、そこにあった「苗」です。 2日前にCPが買ってきてくれていたイチゴの苗。 見てみると、びっくりするくらい保存状態が悪い。 土も水もない、光も当たらない場所に放置され、月曜日を待たずして全滅しそうな勢いです。

「……本当に農業やったことあるのかな?」

心の中で毒づきながら、焦って応急処置を施しました。土と水を与え、少しだけ光が入る場所へ移動。なんとか息を吹き返してくれることを祈ります。 農業オフィサーという肩書きがあっても、基本的な栽培管理ができるとは限らない。 この現実は、今後の活動において肝に銘じておく必要がありそうです。

ムミアスで見た「不正との戦い」

応急処置を終え、資材を探しに隣町ムミアスへ。 そこで知り合いのオフィサーに会い、農業事務所へ立ち寄ると、すごい数の農民が列を作っていました。 政府が進める「ラストワンマイル・プロジェクト」の登録のためです。

彼らはIDカードを提示し、PCで何かを入力されています。
詳しく聞くと、基本情報を登録したのち、GPSを使って農家の情報を登録するのとこと

【調査】GPS登録の目的:不正防止と適正化 ケニア政府は肥料補助金の配布において、GPSデータを活用した厳格な管理(KADIC/KIAMIS)を進めています。

  1. 不正登録の防止(架空・重複の排除) 「私がここで登録して、別の誰かも同じ場所で登録したら、システムは『3人が同じGPS座標にいるはずがない』とはじく」。 同じ土地での二重登録や、存在しない架空の農地を登録して肥料を横領する不正(Corruption)を防ぐための仕組みです。
  2. 配布量の適正化 Googleマップ上で農地の位置を確認し、正確な面積(Acreage)を算出。それに基づいて「適正な肥料の袋数」を割り出し、購入用コード(E-voucher)を発行します。

アナログな現場に見えて、裏側ではかなり高度なDX(デジタルトランスフォーメーション)が「人間のズル」を防ぐために実装されています。

雨よけのシートは変えましたが、育苗ポットはカカメガタウンの方が安いとの情報を得たので、購入は明日に持ち越し。
その代わり、ついに冷蔵庫をピックアップして帰路につきました。

搬入狂想曲と、人の温かさ

家に着くや否や、停電。 せっかくの冷蔵庫も、ただの白い箱です。まあ、しょうがない。

輸送中傷つかないように、発泡スチロールやシールでしっかり固定されていました。

そして、ようやく完成したテーブルも搬入しました。 ここでひと悶着。 運んでくれたボダボダ(バイクタクシー)の運転手は、以前から知っている顔なじみなのに、明らかに法外な値段をふっかけてきました。 「友達価格」なんてものはなく、隙あればぼったくる。悲しいですが、彼を二度と使うことはないでしょう。

さらにトラブル発生。テーブルが大きすぎて、通路の幅に入りません。
家の下にあるショップの店員さんたちが集まってきてくれました。

「ハシゴを使おう!」

まさかの空中戦。ハシゴを使って、外壁の上から運び入れる大掛かりな作業になりました。 めちゃくちゃ大変な作業なのに、彼らは文句ひとつ言わず、笑顔で手伝ってくれました。 ボダボダ運転手の強欲さと、ショップ店員さんの無償の親切。 人の冷たさと温かさを同時に味わう、これぞケニアという時間でした。

電気のない食卓で

夜。電気はありませんが、新しいテーブルを使ってご飯を食べました。
床ではなく、テーブルで食事をする。
たったそれだけのことですが、人間らしい生活を取り戻した実感が湧いてきます。

少しずつ、でも着実に。 生活も活動も、形になり始めています。

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