【ケニア派遣57日目】赤キャベツで土壌診断。「あるもので何とかする」科学実験と、ボスの信頼

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

蚊帳と快眠、そして朝の科学実験

昨日導入した蚊帳のおかげで、昨晩は驚くほど快適に眠れました。
久しぶりに頭がスッキリしています。やはり睡眠はすべての活動の基盤ですね。

朝から早速、実験を開始しました。昨日買ったガスを使って、「赤キャベツのpHテスト液」を作ります。イチゴは「弱酸性」の土壌を好むため、現地の畑のpHを確認し、調整が必要かを知るためです。

作り方は簡単。赤キャベツを刻んで、沸騰したお湯で約10分煮詰めるだけ。 キャベツを取り出し、残った紫色の液体が試験液(指示薬)になります。

  • お酢(酸性)を入れると → 赤色
  • 石鹸水(アルカリ性)を入れると → 青色

見事に色が変化しました。 「ものがないなら、あるものでなんとかする」 訓練所の研修で耳にタコができるほど聞いた言葉ですが、ここケニアで実践できました。

【解説】赤キャベツでpHが分かる理由 赤キャベツに含まれる色素「アントシアニン」は、pH(水素イオン濃度)によって構造が変化し、色が変わる性質を持っています。リトマス試験紙がない環境でも、身近な野菜で代用できるこの方法は、途上国の理科教育や農業指導でよく使われるテクニックです。

事務所へ持っていくと、ボスは目を丸くして驚いていました。
「若いのになんでそんなこと知っているんだ!」
「その方法、めっちゃ使えるからみんなに教えてくれ!」

少しずつですが、信頼が積み上がっているのを感じます。嬉しい瞬間です。

腰の重い同僚と、前のめりな農家

今日はその試験液を持って、トライアルを行う農園へ。

「畑に行こう!」と誘うと、カウンターパート(CP)は「あれ、今日だっけ?」と少し気のない返事。「うん、行きましょう」 そう言って半ば強引に腰を上げてもらいました。まだ地域での信頼値が足りない私には、スワヒリ語の通訳も含め、CPの同行が不可欠です。多少の強引さは、ここでは必要なスキルです。

しかし、畑に着くと空気は一変しました。農家さんはすでにやる気満々。
「話は聞いてるよ! 家族とも話して、ぜひやろうってことになってる」

早速、簡易土壌診断を実施。畑の広さ、粘土性、排水性、そしてpH。赤キャベツ液の結果も含め、悪くありません。牛糞堆肥を混ぜて保肥力を高めれば、十分に勝負できそうです。

「地域のパイオニアになりたい」

課題は、イチゴのランナー(蔓)を受ける育苗ポット。 ケニアではビニール袋(プラスチック)の使用規制が厳しいため、ナイロン素材で代用するか、他の素材を探すか。他の隊員の知恵も借りようと思います。

【補足】ケニアのプラスチック禁止令 ケニアは2017年から、世界でも最も厳しいレベルの「ポリ袋禁止令」を施行しています。一般的なレジ袋の製造・販売・使用は禁止されており、違反者は逮捕されることも。農業用の苗木バッグ(Potting bags)は特定の条件下で許可されていますが、取り扱いには注意が必要です。

「地域のパイオニアになりたいんだ。新聞にも載っちゃったりしてね(笑)」

農家さんは冗談めかして言いましたが、その目は真剣でした。 「私を選んでくれてありがとう」と言われましたが、感謝を言うべきはこちらの方です。すでに少しイチゴを育てていて、家からも近く、何より新しいことに前向き。とても良いパートナーに出会えました。

「うまくいったら、畑もどんどん広げていいよ」 その言葉に、最初は面倒そうだったCPも「絶対成功させたいな」とテンションが上がっていました。熱意は伝染するようです。畑で採れた新鮮な野菜を使った昼食をご馳走になり、明日からの耕作に向けて準備万端です。

「アマランサス」って言っていたと思います。情報量が多くてメモしきれず、不確かですが。
味はとても美味しかったです。

「夜は聖書を読め」という忠告

帰所してボスに報告した後、家畜事務所のスタッフに挨拶をしました。
そこで、少し厳しいトーンで忠告を受けました。

「外にサッカーを見に行くのはダメだ」

この辺りも、夜はやはり危ないとのこと。
「仕事は16時に終わって、マーケットで必要なものを買ってすぐ帰る。それがここの時間だ」
「少なくとも日が暮れたら、家の中で大人しく聖書でもコーランでも読んでなさい

娯楽がないからといって、不用意に出歩くことへの戒めです。
自分の身を守るため、そして活動を続けるためにも、この「16時終業」のルールは徹底しようと思います。

洗濯ネットで挑む「干し芋」開発

その教えに従い、マーケットでサツマイモを買って直帰しました。
夜の時間は、新たな実験「干し芋作り」に充てます。

サツマイモを軽食にする文化はここにもありますが、食材を乾燥させる保存食の知恵と組み合わせれば、「保存性 × 味」の観点で面白いプロダクトになるはず。 CPも「作ったら食べてみたいし、作り方も教えて」と興味津々でした。

とりあえず、適当な干しネットがなかったので、洗濯ネットで代用。綺麗に並べられずカビが心配ですが、これもトライ&エラー。赤キャベツに続き、洗濯ネットの干し芋。あるもので何とかする日々は続きます。

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