【ケニア派遣47日目】突然の死と、サウナのような熱狂。静と動のコントラスト

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

今日もオフ。

朝の散歩中、水汲みをしている女性と出会い、立ち話をしました。黄色いポリタンクを運ぶのを手伝ったけれど、水はずっしりと重い。
乾季の水問題は本当に深刻。地下水も枯れないか心配なの
彼女の言葉には、生活の実感がこもっていました。

重そうに持っていると、「まだウガリを食べ足りないね」と笑われます。ウガリ(トウモロコシの粉を練った主食)と葉野菜だけで、私たちは全ての栄養を摂っているのよ、と彼女は言います。 「ビタミンは長時間茹でると水に流れちゃうんだよ」 そんな話をすると、彼女は心底驚いた顔をしていました。スマホを持たない彼女にとって、新しい情報はこうした会話から得られるものが全てなのかもしれません。

讃美歌と、やり場のない静寂

家まで送り、朝ごはんの作り方を教えてもらっていた、その時でした。
外から「ママ!」と叫ぶ声が聞こえ、空気が一変しました。

彼女たちの母親が倒れたのです。 彼女は神に祈るような言葉を叫びながら泣き崩れ、母親は動かない。 亡くなったのか、まだ息があるのか、私には近づくことさえできませんでした。 兄弟が急いでバイクを借りてきて、彼女と一緒に母親を連れて行きました。

私は呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。この街にきちんとした病院はありません。搬送するのにも時間がかかる。しかも今日は日曜日。 あまりに状況が悪い。言葉が見当たりませんでした。

静まり返ったその場を、私はただ立ち去ることしかできませんでした。一昨日も近くで亡くなった方がいたばかり。こんなにも死が近いのか。自分が死神なんじゃないかとさえ疑ってしまうほど、衝撃的な出来事でした。

帰り道、教会からは讃美歌が聞こえてきました。彼女の涙を思い出します。 神は一体いつ、どこに現れるんだろう。誰を助けてくれるんだろう。 美しい歌声だけが、無情に遠のいていきました。

思考を遮断するための作業

そのまま寄り道せずに帰宅し、逃げるように作業に没頭しました。 JICAへの提出書類の整理、家計簿、アイデア出し。同僚に見せるための提案書も作ってみました。実行できるかは別として、とにかく手を動かしたかった。 朝の光景がずっと頭に引っかかっていましたが、別のことを考えることで、どうにか自分を保っていたのだと思います。

昼過ぎ、ゲストハウスのオーナーが様子を見に来てくれました。 本業は不動産経営らしいけれど、あまり羽振りが良さそうには見えません。「日本の中古車ビジネスはできないか?」と聞かれたので、前職の知識でハードルを説明すると、「なるほど」と頷いていました。 会話中もひっきりなしに電話がかかってきます。どれも1分にも満たない短いやりとり。ケニアは本当に電話文化です。

彼は結局、私が元気にしているか確認したかっただけのようでした。「もし工事が遅れて入居できなかったら、ここ延長してもいいからな」と言ってくれる、いい方です。 そして話題はやはり「水」へ。 「水が全然出ないだろう。ここだけじゃなくてカカメガ中がそうなんだ。ライフラインだから、大切にな」

本当にその通り。歯磨きも、手洗いも、常に最小限の水で済ませることを考えています。

【考察】AIと水の関係 最近、生成AIの開発・運用に莫大な水と電気が消費されることが懸念されています。GoogleやMicrosoftのデータセンターは、冷却のために年間数十億リットルの水を消費しており、ChatGPTとの短い会話(20〜50ターン程度)でも500mlペットボトル1本分の水が消費されるという試算もあります。 (出典:University of California, Riverside 研究報告など)

テクノロジーの最先端で「水不足」が懸念されている一方で、私は今、物理的に水がない生活を送っている。 この対比を肌で感じられるのは、ある意味で貴重な機会なのかもしれません。 この環境で何を感じ、どう行動するのか。自分自身のストレスも含めて、モニタリングしていきたいと思います。

夜の「人間サウナ」とプレミアリーグ

夜は、近所のホールへサッカー観戦に行きました。 ホールといっても、中学校の教室くらいの広さ。そこに100人近くの男たちがすし詰めになっています。 今日はアーセナル対マンチェスター・ユナイテッドという、ケニアで最も人気のあるカード。

会場は動物園のようでした。空気が物理的に揺れている。 人間から発せられるとは思えない奇声が飛び交い、静かになる時間は1秒たりともありません。 ものすごい熱気。まさに「人間ロウリュウ」。サウナの中にいるようでした。

結果はユナイテッドの勝ち。アーセナルファンは意気消沈。 合間にバルセロナ(ラ・リーガ)の試合も流れていましたが、皆そちらには全く興味を示しませんでした。

【調査】なぜケニアではプレミアリーグが人気なのか? ケニアにおけるプレミアリーグ人気は、イギリスの植民地時代にサッカーが持ち込まれた歴史的背景に加え、英語圏であるため実況や情報へのアクセスが容易であることが大きいです。 また、エンターテインメントとしての放送権ビジネスの浸透や、スポーツベッティング(賭け事)の流行も熱狂を後押ししています。もちろん、身体能力が高くダイナミックなプレースタイルが、彼らの好みに合致しているという側面もあるでしょう。

アフリカ系の選手が良いプレーをすると、会場は一層盛り上がります。そこには確かな仲間意識のようなものを感じました。

帰りは満点の星空。 10時前の真っ暗闇を、少しの恐怖を感じながら走って宿まで帰りました。
あまりに色々ありすぎた、長いオフでした。

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