【ケニア派遣43日目】本赴任、マトゥングへ。家探しのドラマと、農家巡りで見た「格差」と「希望」。

JICA海外協力隊
JICA海外協力隊Kakamegaケニア派遣

いざ、本赴任の地へ

ついに、この日が来ました。
朝、カカメガのホテルを出発し、これから2年間を過ごす任地「マトゥング」へ向かいます。

まずは、最大の懸案事項である家探し。 結果から言うと、一度安全管理アドバイザーに断られた物件に決まりました。 「グリルドア(鉄格子の扉)を2箇所設置する」などの条件をクリアすることを前提に、同行してくれたスタッフが粘り強くJICA事務所と交渉してくれたおかげです。

親身になって手伝ってくれる彼らの優しさが、本当にありがたい。 家はまだ建築中ですが、あと10日ほどで仕上がる予定とのこと。一人で住むには十分すぎる広さです。ここを精神が休まる「城」にするべく、来週から少しずつ部屋作りをしていこうと思います。

ベリンガム似の統計局員と、農家巡り

午後からは、早速仕事開始です。 今日はケニア国家統計局の方がナイロビから来ており、カカメガの農業事情調査に同行することになりました。 現在行われているのは「リスティング(名簿作成)」と呼ばれる段階。後の本格的なセンサス(全数調査)に向けた準備であり、政府の政策立案のベースとなる重要なデータ収集です。

ちなみに、来ていた統計局員の方は、サッカー選手のジュード・ベリンガムに似た超イケメン。いかにも優秀そうなオーラを纏っていました(笑)。

「豊かさ」のグラデーション

彼に同行して、マトゥング内の様々な農家や組織を回りましたが、そこで見たのは農家のリアルな「格差」でした。

最初の2軒は、大規模農家。 家も大きく、労働者を雇い、アセットからの再投資を回してスケールさせている。年齢層は高めで、新しいことに挑戦するというよりは、盤石な基盤の上で稼いでいる印象でした。稼いでいる農家は、しっかりと稼いでいるのです。

対照的だったのが、その後に訪れた個人で養蜂をしている若い農家さん。 土壁の家で、ミニマムな生活を送っていました。蜂蜜は瓶に詰めてローカルに売っているそうですが、「もう少し小分けにして(ロットを小さくして)売れば、もっと手に取りやすくなるのでは?」などと、勝手に節介を考えつつ、もっと話してみたいと思わせる魅力がありました。

大規模農家は訪れるとお茶受けが出てくる。
もうソーダいらないよみたいな目をしながらも飲み干す同僚を見て、気の使い方が日本人みたいだなと感じました。

信頼が通貨になる場所、「SACCO」

その後は「SACCO(サッコ)」へ。 これは Savings And Credit Cooperative Organization の略で、日本語で言えば「貯蓄信用協同組合」。メンバーがお金を出し合い、必要な人に貸し出す、相互扶助の金融組織です。

なぜこれが重要なのか。 ケニアでは、銀行から融資を受けるには土地の権利書などの担保が必要ですが、小規模農家の多くはそれを持っていません。そこで、SACCOが「命綱」になります。ここでは、担保の代わりに「メンバー間の信頼」と「積立実績」でお金を借りることができるからです。 教育費や農機具への投資など、貧困の連鎖を断ち切るための資金を、互いの信用で生み出すシステム。ケニアに根付く「Chama(チャマ)」という助け合いの文化が、近代的な組織に進化した形とも言えます。

ここのリーダーの方は、驚くほど腰が低い方でした。 権力ではなく「信頼」で成り立つ組織だからこそ、最も誠実で謙虚な方が頂点に立つのかもしれません。

現場のリアルと、言葉の壁

最後に訪れたNGOでは、気候変動に対するフードセキュリティのためにキャッサバなどを育てていました。具体的な取り組みまでは聞けませんでしたが、ここも今後通ってみたい場所の一つです。

ひとえに「農家」と言っても、そこには多様な形と組織がありました。一緒に活動できそうなパートナーを探すために、これからも色々な角度から話を聞いて回りたいと思います。

それにしても、今日一番痛感したのは「語学の壁」の高さです。 正直に言って、彼らが何を話しているのか、ほとんど分かりませんでした。 英語はあまり使われず、使われても訛りが強くて聞き取れない。スワヒリ語、そして現地のルヤ語。 これでは、情報を得ることも、信頼を築くことも、ましてや提案なんて夢のまた夢です。仕事になりません。

初日にして突きつけられた、厳しい、厳しい現実。
でも、やるしかありません。 情報を得て、信頼を勝ち取るために。死に物狂いで、言葉を自分のものにします。

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