キスムの朝活と、大都市の買い物
昨日の隊員集会から一夜明け、今日は西部最大の都市「キスム」の綺麗なカフェで朝活からスタートしました。
美味しいコーヒーを飲みながらの読書。久しぶりの洗練された空間に、いつもより深く集中できました。やはりカフェという「サードプレイス」の存在は偉大です。任地のマトゥング周辺にも、こんな場所が一つでもあれば最高なのですが。

その後は、日用品や備品の買い出しへ。 「China Square」や「Carrefour」といった、任地の近くにはない巨大な店舗を巡りました。 日中は外を歩き回ることが多く、家にいる時間は決して長くありませんが、それでも「帰る場所」である家は少しでも居心地良くしておきたいものです。

扉を閉めるとレシートが出てきて、それを入れると再び解錠します。ハイテク。
シャッター化するモールと、ケニア経済の仮説
買い出しと並行して、マーケティング調査のために行きたいお店が2店舗ありました。 Googleマップでしっかりピンを立て、経路も確認して向かったのですが……なんと、どちらも閉店してしまっていました。 「Googleマップに載っているのに店がない」というのはケニアあるあるですが、それにしても連続で空振ると堪えます。
ふと気づいたことがあります。 昨日行った「プラザ(商業施設)」も空きテナントばかりでしたし、今日立ち寄った大型の「モール」も、シャッターが閉まったままの区画が目立ちました。 西部最大の都市で、人も着実に増えているはずなのに、なぜこんなに空きテナントが多いのでしょうか。
【考察】なぜキスムのモールは空きテナントばかりなのか?
カフェで調べた情報と現地の肌感覚をすり合わせると、いくつかの仮説が浮かび上がってきました。
1. 物価高騰の後遺症と度重なる増税
直近のインフレ率自体は4%台と落ち着きつつありますが、ここ数年続いた急激な物価高騰と、度重なる増税(Finance Act)のダメージが市民の生活を深く圧迫しています。生活必需品のベース価格が上がったままで、一般市民に「モールで買い物をする(ハレの消費)」余力が戻っていない。結果、テナントは高い家賃を払えず撤退していく構造です。2. 首都ナイロビへの一極集中
キスムの若者や購買力のある層、そしてビジネス自体が、より大きなチャンスや安定した市場を求めて首都ナイロビに流出してしまっている可能性。3. オーバーストア(供給過多)
経済成長のピーク時に「モール建設ラッシュ」が起き、需要(実際の購買力)を大きく上回る巨大商業施設を作りすぎてしまったという不動産市場の構造的な問題。現地の経済レポートでも、この「供給過多」が小売セクター低迷の最大要因として指摘されています。

キスムは、買い出しには便利ですが、「よっぽどの理由がないと、気軽には来ないかな」というのが正直な感想です。 やはり、任地から遠すぎる。
マタツの乗り換えと、JR値上げへの賛成
「遠い」と感じる最大の理由は、距離そのものではなく「帰りの移動の面倒くささ」にあります。
行きは直行でスムーズだったのですが、帰りは絶対に真っ直ぐには帰れません。 途中の街で降ろされ、別のマタツ(乗合バス)に「乗り換え」をさせられるのです。 今日はたまたまコンダクター(車掌)が良い人で、乗り換えのガイドもしてくれたし、お金の引き継ぎもちゃんとしてくれたのでトラブルにはなりませんでした。 しかし、乗り換えるたびに「騙されないか」「お金は払われているか」「いつ出発するのか」と頭をフル回転させなければならず、これが猛烈に面倒くさいのです。
そんなマタツの車内で、スマホのニュースを見ていると、「JRの運賃値上げ」の話題が思い出しました。 日本にいた頃なら「また値上げかよ」と不満に思っていたかもしれません。 でも、今の私は全く違う感情を抱きました。
「あんなに秒単位で時間通りに来る、安全で快適な交通網なんだから、もっとお金払ってあげて!」
日本の電車の定時運行システムは、世界的に見て「異常なほどの奇跡」です。その奇跡の恩恵を毎日当たり前のように受けていたことのありがたさを、マタツの理不尽な乗り換えの中で強烈に実感しました。

綺麗好きな自分と、薄暗い部屋
長旅を終えて帰宅し、夜は「カレーうどん」を作りました。
食事の後は、買ってきた生活用品を収納し、部屋の身の回りを整理整頓しました。 散らかっていたものが綺麗に収まり、部屋が整っていくと、目に見えて自分のテンションが上がっていくのが分かりました。
「ああ、自分って結構、綺麗好きだったんだな」 ケニアの土埃にまみれた生活をして初めて、自分のパーソナリティの意外な一面に気づかされます。
しかし、ここはケニア。どんなに掃除をしても、すぐに虫は入ってくるし、土埃も積もります。 綺麗好きゆえに、汚れが目に入ると気になりすぎてストレスになってしまう。
だから私は今、できるだけ部屋を薄暗くして生活するというライフハックに行き着きました。 暗ければ、汚れも見えません。 停電の暗闇に慣れた目と、見えないものは気にしない精神。 綺麗好きな自分をケニアの環境に適応させる、今の最適解です。



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