100日目の朝と、イチゴの生命力
ついに今日で、ケニアに赴任して100日目を迎えました。
そんな節目の一日も、やることは普段と変わりません。
昨日電話でアポイントを取った農家の元へ朝から向かい、イチゴの植え替え作業を行いました。
8時から作業を開始し、ランナーで増えた苗を別のポットへ移していくのですが、イチゴの繁殖力には驚かされました。 一つの苗から大体5個くらいに増えており、もともと300個ほどだった苗が、なんと約1000個近くにまで増殖していたのです。
イチゴってすごいな……。知識では知ってはいたけど実際に見て、作業してみると、驚きました。
これをちゃんと、全て上手く育ててマネジメントできれば、相当な数を出荷できそうだと、大きな希望を感じました。
クラウンの危機と「Good boy」のジレンマ
しかし、農家の方と一緒に作業をしていると、どうしてもヒヤヒヤする場面に出くわします。
彼らは作業のスピードこそ圧倒的に速いのですが、信じられないくらい根っこをブチブチと引きちぎったり、イチゴが呼吸するための成長点である「クラウン」と呼ばれる根本の部分まで、深く土の中に埋めてしまったりするのです(クラウンが土に埋まると腐ってしまいます)。 この大雑把さを見るに、繊細な管理が求められる果樹栽培はなかなか大変だろうな、と少し頭を抱えました。
私が向き合っているのは、基本的に人生経験が豊富な年配の農家さんたちです。彼らには彼らなりの長年培ってきたやり方があり、プライドもあります。 現に今日の作業中、私は彼女からずっと「Good boy(いい子ね)」と呼ばれていました。他にも「Mwalim(先生)」「Professor(教授)」と敬意を払ってくれることもありますが、基本的には「Youth(若者)」扱いなのです。 年配でプライドの高い農家さんとのやり取りは、一筋縄ではいきません。
でも、これは日本でも世界中どこでも同じこと。 相手のやり方を尊重しつつ、伝えるべきことはしっかり伝える。日本ではでは関係構築を優先して何も言わないことも多々ありましたが、ここでは絶対に言わなければいけないフェーズに来ています。 まずは自分が正しいやり方を「示して」みせる。そこからのスタートです。

画面共有に30分と、人生のアドバイス
10時にチャイ休憩、14時に昼ごはんを挟み、今日は計6時間ほど泥臭く働きました。 休憩時間には、本当に色々な話をしました。
農家の方がオンラインミーティングをしていたのですが、ここケニアではオンラインの世界でも「時間通り」にはいかないようです。 ミーティングが始まったかと思えば、今度は画面共有がうまくいかず、なんとその作業だけで30分もかかったとか。そこまでうまくいかないなら、事前にデータを送信するとか「第3の選択肢」はないものかとツッコミたくなりますが、今回は私がなんとか問題を解決しました。

昼休憩の時には、彼女から「しっかり財産を持て」「もっと家族を大切にしろ」といった、熱い人生のアドバイス(?)をいただきました。 彼女の言うことも理解はできます。しかし、私はただ黙って頷くのではなく、私なりの意見や価値観もしっかりとぶつけてみました。 すると、そこから文化や考え方の違いがまじまじと浮かび上がり、対話がとても面白いものになりました。
「意見を持つこと。そしてそれをぶつけ合うこと」 それが正しいかどうかは別として、相手と深く分かり合うためには、摩擦を恐れずに自己開示することが不可欠なのだと、100日目にして改めて感じました。

M-PESAの罠と、ケニアの洗礼
充実した農作業を終えた帰り道。
マタツ(乗合バス)に乗ろうとしたところで、背筋が凍るような事態が発生しました。
スマホのネット通信量が底をつき、ケニアの命綱であるモバイルマネー「M-PESA」が使えなくなってしまいました。財布の中にある現金は、1,000シリング札(約1,000円)が¥のみ。 ケニアでは、少額の運賃や買い物で高額紙幣を出すと、お釣りがなくて強烈に嫌がられたり、最悪乗車を拒否されたりします。
猛烈に焦りましたが、なんとか車掌にお願いし、現金で無理やりお釣りを作ってもらって事なきを得ました。M-PESAはキャッシュレスで最高に便利ですが、通信環境に依存する分、こういう「いざという時」の怖さがあります。

大雑把な農作業にヒヤヒヤし、価値観をぶつけ合い、電子マネーの罠に冷や汗をかく。
なんてことのない日常ですが、これが今の私のリアルです。
100日間の生存に感謝しつつ、明日からの101日目もポレポレで進んでいきます。


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