まだ夜の気配が残る、朝4時台に起床。今日は、株式会社イノPとして阿蘇での活動です。
仕事前に寄り道。阿蘇山草千里の圧倒的自然に言葉失う。
夜明け前の道を走り、阿蘇山草千里へ。
そこに広がっていたのは、絵の具のパレットにあるどんな緑よりも、もっと生命力に満ちた緑色の草原でした。その圧倒的な美しさに、ただただ感動するばかり。
しかしその一方で、山肌に残る熊本地震の生々しい傷跡は、自然が持つ抗いがたい脅威をも静かに物語っていました。

驚異的な効率と、冷たい水の恵み
朝7時、地域の農家の方々と共に、広大な水田の電気柵設置作業を開始します。
端から端が見えないほどの広さに、これは丸一日かかるだろう、と覚悟を決めました。
しかし、その予想は良い意味で裏切られます。
作業が始まると、皆さんの手際の良さは驚異的でした。長年、この土地で農業を営んできた方々の身体に染み付いた知恵とチームワーク。
あれほど広大だった作業は、わずか4時間ほどで完了しました。
阿蘇は米農家がほとんどだそうですが、その理由も分かります。山から絶え間なく流れてくる、清らかで冷たい水。これを吸って育つ米が、美味しくないわけがないのです。

「お節介力」という、イノPの介在価値
作業が早く終わったことで、午後に予定していた罠の設置指導や、「マタギッ娘」という機械の導入指導も行われました。

一連の活動を通して、私はイノPという会社の、本当の価値に触れた気がします。それは、ただ製品を売るだけではない、徹底的な現場主義。一般的なメーカーが分厚いマニュアルを渡して終わるところを、彼らは共に汗を流し、相手が完全に使いこなせるまで、どこまでも付き合う。
特に、使い手が若者ではない場合、このある種の「お節介力」とも言える、人間的な距離の近さこそが、新しい技術を地域に根付かせる上で、最も重要なのだと感じました。

大観峰の絶景と、人生最高のソフトクリーム
少し涼しい阿蘇での作業を終え、地元の温泉で汗を流し、大観峰の展望台へ。ミルクロードを走り抜けると、朝の草原とはまた違う、雄大で、どこか優しい阿蘇の風景が広がっていました。空がすぐそこにあり、見渡す限りの緑が風に揺れている。ただ「素敵だ」という言葉しか出てきませんでした。
帰りに立ち寄ったお店のソフトクリームは、まさに「生乳」そのもの。人生で一番美味しい、と断言できるほど、全くくどさのない、自然な甘さでした。


その後も、大きなホームセンターや無人のパン直売所への思わぬ寄り道を経て、帰宅したのは夜9時過ぎ。同居人と少しだけ杯を交わし、長く、そして幸福な一日の幕を閉じました。


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