長く続いた雨が上がり、梅雨が明けました。朝から空は晴れ渡り、その広さに改めて気づかされると同時に、本格的な夏の暑さが始まります。
午前中は、エアコンの効いたハウスで胡蝶蘭を曲げる作業。暑さはありませんが、一本一本を折らないよう、呼吸を忘れるほどに神経を集中させます。
作業が終わると、どっと疲れが押し寄せてきました。

IOTが拓く、狩猟の未来
午後は、初めて「イノP」の活動に参加。東京から来た大学の研究室の方々と共に、衛星通信「スターリンク」の作動実験に立ち会うという、貴重な経験をしました。
そこで見聞きしたのは、深刻化する獣害問題と、IOT技術の活用の最前線でした。
罠猟は、熟練者の経験と感覚(感覚知)に頼る部分が非常に大きく、それが技術継承の壁となり、担い手不足の一因となっています。
実際、設置された罠の88%は獲物を捕獲できていないというデータもあるそうです。
その「感覚知」をデータに落とし込み、可視化しよう試みるのが”技術”の活用です。
リアルタイムカメラや、熟練者の視線の動きを追う眼鏡型カメラなど、最初は高価に思えた機材も、話を聞くほどに「見えないものを見えるようにする」という点で非常に有効だと理解できました。
参考:くまもと☆農家ハンター「(株)イノP」
https://farmer-hunter.com

私たちにできること、”無意識の餌付け”をしない当事者意識
また、獣害は決して農家だけの問題ではない、ということも痛感しました。
放置された庭の果樹などが、動物にとって格好の餌場となり、結果的に里へとおびき寄せてしまう。
私たち一人ひとりが当事者意識を持ち、”無意識の餌付け”をしないよう生活を見直すことが、獣害対策の第一歩なのだと感じます。
参考:『えづけStop!対策』
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/88/116776.html
最前線の熱、そして満天の5等星
夜は、三角の居酒屋で研究室の方々との懇親会へ。
この環境は、本当に多種多様な人々と出会えるからこそ面白く、ありがたい。
最前線で研究に打ち込む方々の熱量や葛藤に触れる、刺激的な時間でした。
帰り道、ふと空を見上げると、そこには息を呑むような星空が広がっていました。
新月だったこともあり、星の一つひとつが、降ってきそうなほどに輝いています。
その時、私の心惹かれたのは、ひときわ明るく輝く一番星(1等星)ではありませんでした。
夜空を埋め尽くすように、か細く、けれど確かに存在する無数の小さな星々(5等星)でした。
一つだけが突出しているのではなく、無数の小さな光が集まって、一つの美しい世界を創り上げている。その光景はとても人間らしく、美しいと感じました。
これからも、世の中の華々しい一番星だけでなく、この無数の5等星のような、小さくても確かな存在に想いを馳せ、その声に耳を傾ける努力をしていきたい。
満天の星の下で、そんなことを考えた夜でした。

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